第57話

2.三人よればかしましい







蓮伽さんは僕の何を見ていたのだろうか・・・・







こちらを見ていたのに、視線が合わなかった





何かしっくりこないな・・・と思いながら、お茶とお菓子の準備をする









―————――————― 一方、リビングでは大騒ぎになっていた。





「岩本さん、ところでそれは・・・・・」







中居さんがめざとく指輪に触れた





稲垣さんも、ワクワクしながらこちらを見ている





「そうなんですよ、頂きものでして♡」






(は、恥ずかしい・・)







〈い、頂きものって・・・言い方(笑)〉

照れた蓮伽さん・・・可愛いな、などと思いながらキッチンではもっか準備中・・・・








「深澤くんからもらったのよね?!」






〈中居さん、・・・当たり前ですよー(;^_^A)〉






「え?それは・・・・・ふふっ、じゃなきゃ大変です(笑)」





(爆)

(爆)

(爆)




「婚約指輪・・・・ですよね?!!」





稲垣さんの声がJKのようにはずんでいる






「おめでとう!!岩本さん!」


「ありがとうございます(照)」


「岩本さん、素敵ですぅ!」






昔の人、さすがです。




”三人寄ればかしましい”





ちなみに【かしましい】を漢字で書くと【姦しい】となります。


女が三つ・・・おどろおどろしさを禁じ得ません。





「深澤さん、がんばったわね」


「・・・・はい、こんな高価な指輪・・・・とても嬉しいです、前の亭主はそういうのなかったですからね」


「いつ籍入れるの?」


「・・・・それはまだ、です。深澤くんのご家族ともまだお会いしてないんですよ・・・」


「・・・・?何だか浮かない感じね、」


「・・・そうでもないんですけど、多分あまりいい顔をしていないのではと思っているんですね。だって、自分の息子が15も上の子持ちの女性と結婚した言って来るわけですよ、驚愕じゃないですか?」








・・・・・・俺のコト、話してる・・出づらい(笑)





「そうだけど、35よ、カレ。親とかいいじゃない、もう」


「当人同士はそれでいいんですけどね、親はそうはいかないんですよ(笑)」


「そんなもん?」


「そんなもん。だって、親には親の子どもへの思いがあるから、、、血筋が一緒の孫が欲しい訳ですから、それに・・・」


「それに?」


「深澤くん、お母さまの事で色々とあったから、お父様としては普通の家庭を作って欲しいと思ってると思います。」





・・・・蓮伽さん、色んなことを考えているんだな、やっぱ大人。




「あなた達は普通じゃないの?」


「(笑)少なくとも、私は思っています。私と結婚すれば子どもは望めない」





〈よし、このタイミングで出よう〉




キッチンからソファへと戻った






「お待ちどうさまで~す」






「・・・・蓮伽さん、全部聞こえてましたよ」




「うん、別に構わないけど?」





普通の顔をしている蓮伽さんに拍子抜けした






「深澤さん、婚約おめでとう!」






間髪入れずに、中居さんが祝福してくれた






「ありがとうございます!」




「頑張ったわね、指輪」




「はい(笑)指輪貯金の半分を使いましたから」







「指輪貯金?!」






みんな大爆笑だ






「え?え?何で笑ってる・・・・?」





蓮伽さんなんて、泣きながら腹をよじって笑ってる






「ねぇ、深澤さん、それって誰に上げるかわからないけど”その時”の為に貯めてたってこと?!」


中居さんも、それはそれは楽しそうに笑っている






「ち、違いますよ!!蓮伽さんの為に、ずっと前から貯めて来たんですよー!!」





・・・・・




・・・・・






あれ?おかし・・いな、、、

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