第27話

2.本当に辛い時





「やだ、何?!」




流石の中居さんも、ちょっと緊張している





予測していなかった話のようだ






<僕も、聞いていないぞ!>






「んー....、彼女たちは”生贄”と称され香取さんに囲われていたようなんですよ・・・」



「?!・・・生贄?!.....」




ここまでになっているとは思わず、さすがに中居さんも言葉を失ってしまった



「中で囚われていた方の話しによると、そういう形であそこにいたようです。あと、中居さんには酷な話かもしれませんが・・・」


「・・・が?まだ何かあるの?!」






一瞬ためらったが、内緒にしていてもしょうがないので告げた





「多分ですが、肉体関係もあると思われます。体に細かい内出血がありました。それと、.....薬を飲んでいる?飲まされている?と思います。

体から甘い人工的な匂いがしました。病院の人が気づくと思うので尿検査すると思いますが・・・」






彼女の顔を見ると、何とも言えない表情をしている




「ずいぶんてんこ盛りねぇ(笑)」




もう笑うしかないのだろう、ヘラヘラとした感じになった





(きっと、色んな思いに押しつぶされそうなんだろうな.....)






深澤くんがすかさず声をかける




「中居さん、気持ちがしんどい時は言葉にした方がいいですよ!蓮伽さんもいるし、僕たちもいますから」




ナイスなフォローだ




(深澤くん.....)




「深澤さん...ありがとう、・・・そうね、そうするわ」





心なく笑った




「目的がわからないんですよね・・・今の時点では」


「そうね、何がしたくてそうしているのか」


「ただ、わかっているのは複雑な感情が入り混じって彼は今を過ごしている。それは気で感じるから」


「複雑?」


「そうです、負の感情だけだったら安心して憎めるのに感情の中に純粋で優しい感情が混ざっている。それは、中居さんへの気持ちなのだと思います」






中居さんの目から、一筋涙が落ちた





「あいつは何をやっているのかしらね、恨むなら私だけで、ウチの一家だけでいいのに」





「香取さんに会ったことがないので、どういう人かはわからないですけど、少なくとも香取さんは真っ黒の感情の中にいる訳じゃなさそうです。

でも、それが彼を苦しめているのも確か。早く、終わらせましょうね....」





蓮伽さんはそう言って、中居さんの背中に手を添えた






「......この感じは....」


「・・・・・・少し、穏やかになりましたか??先程の女性たちにも同じようにしたので、あまり強く包めないですが・・・」





「息苦しいような、辛い感じが楽になっていく」


「良かった、ものすごく負のエネルギーが溜まっています。苦しいですね・・・」





<僕も味わいたい、この感じ・・・・>




蓮伽さんのヒーリングを受けてみたいと思う、ヨコシマなボク

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