第20話

4.あの人、とは?




ひとまず、海岸まで戻って来た。





「深澤くん、稲垣さんに連絡してもらっていい?それと、すぐ彼女のGPSの位置を洞窟にして欲しいんだけど・・・出来る?」


「出来るけど、GPSついてるの?」


「うん、多分このネックレス、GPSじゃない?」






深澤くんがネックレスを手に取って調べている。





「だね、GPS。わかった、ちょっと待って」





PC等に強いので頼もしい。




「食事は取れていますか?衰弱がひどいようだけど....」


「あまり取れていません、最小限です。」


「では、病院へ行きましょう。救急車手配しますので。」





稲垣さんが到着した。






事の顛末を説明し、身元やら、今後の事を女性と話している。





「GPS、終わったよ」


「ありがと」


「・・・あの人って誰なんだろう」


「ね、誰なんだろうねぇ・・・」





僕は蓮伽さんの顔を覗き込んだ。





「わかっているんでしょ?教えて」


「ふふっ、そうね....確証はないけど、深澤くんにもわかるはず」


「え?」




「岩本さん、こちらの諸々は終わりましたので、救急車が来たら一緒に行きます」


「ありがとうございます、ですがその前にいくつか確認したいことが...良いですか?」


「ええ、もちろん。」





―————――————―いくつかの質問をした。


「まだ、洞窟の中には人は?」


「....います、別々の所に軟禁状態で」


「・・・あまり聞きたくないけど、理由は?」


「・・・・、・・・・・」


「言いたくないかもしれないけど、大事な事なの」


「.....生贄....です」





「生贄?!」




稲垣さんと、深澤くんの声が裏返る





「は....い、このままだと中居家のせいで、家が滅びると脅されて目隠しで洞窟に。行けばアイツが待っていて、....」


「強要されたのね、性行為を」





彼女は泣き出した





私は背中を撫でながら、気が落ち着くようにヒーリングをほどこした。





「ごめんなさいね、あと一つだけ。香取さんと面識は?」





全員が驚いた顔で私を見た




「香取さん....?」


「そうよ!香取さん、でしょ?」




サイレンの音と共に救急車が到着した。




「稲垣さん、彼女の件が終わったら帰りにうちに寄って。今日大丈夫?」


「もちろん、寄らせて頂きます。中居さんには?」


「まだ、伝えないで。証拠がない」


「わかりました」





稲垣さんは付き添いの為救急車へと乗り込み、ここを後にした。




「私達はもう一度戻るわよ」


「ちょっと待って、蓮伽さん教えて?」








・・・・船に乗り、洞窟へと向かう海の上、









「まず、香取さんって・・・どういう事?中居さんの元恋人だよね、」


「そうよ、元々そうかなって思ってはいたの」


「どうしてわかったの?」


「稲垣さんから聞いた話と、気の流れってとこを加味して」






気の流れは蓮伽さんしかわからないので仕方がないのだが、



「後で話す、じゃダメ?夜に稲垣さんが来るからその時にまとめて....」


「ん、わかった。一つだけ、今また戻っているのはなぜ?香取さんと鉢合わせの可能性は?」





爽やかな笑顔で、蓮伽さんは言った。






「ふふっ、大丈夫。この地域に彼は居ないから(笑)気を感じないのよ」






※その頃、黒幕と思われる香取は実際に仕事へと出向いているのでこの辺には居なかったようだ

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