第18話
2.島の秘密【前編】
稲垣さんから船の鍵を預かり、深澤くんと一緒に島へ向かった。
海は、祈龍家の地元の海と違い、北海だけあって少し荒い。
「蓮伽さんの事だろうから、意味があって島へ行くんだろうけど・・・・」
「そうね、もちろん意味あるよ。でも、違っていたら悪いから黙ってた」
「どういう事?」
「ん、あの島ね物凄い禍々しいのよ。島から、良くない霊気が凄いの。」
「え?そうなの?!そこへ二人で行くの?!」
「うん、私達は大丈夫だから。」
「なんで、大丈夫って言えるのーー!!」
深澤くんは不安そうにしている。
「龍神様に護られているから。」
「結界!!!」
「そうそう、みんなには内緒ね。来る前に龍神様が結界を張ってくれたの、何も出来ないからこれくらいは、って。」
「すげーー。」
「ふふっ、お戯れが好きなだけじゃないのよ。神々の中ではまぁまぁ力あるから(笑)本気になったら国一つくらい潰せるの。」
「怖ぇーーー。」
「あなたの中にはその血が流れてるじゃない(笑)」
―————――————実はこちらに来る前、龍神様とれんな様がお越しになり様子を見に来てくれた。
お二方は、こちらの地域の状況が分かっていて結界を張りに来てくれたのだろう。
龍神様直々なので、強力なものだ。
・・・・・・
船着き場へついたので、洞窟の入口へ向かう。
「蓮伽さん、洞窟までが歩きやすい様に整備されてない?」
「.....そうだね、人の出入りがあるからね。」
「確定?」
「確定ですよ」
深澤くんの顔が青ざめていく
「蓮伽さん、ここ.....ヤバくない?!」
「ん、ヤバいね(笑)」
「これ....」
さすがの深澤くんも感じているようだ。
「あのね、禍々しい憎悪の念と生きている人の念が混ざってる。そして、ものすごい拒絶を感じる」
「そりゃそうよ、私達の結界は神の結界だからね、神々しいんだもん。」
洞窟に入ると、何もいるはずのない中から声が聞こえる。
・・・・・・
【エレ......カエレ......、カエレ......、カエレ......、カエレ、カエレ、カエレ......】
「れ、蓮伽さん!き、聞こえた?!」
「聞こえてるよ(笑)」
地獄の沙汰から響くような低い声。
同時に女の人の声も聞こえて来る。
【タ....スケテ.....タスケテ....タス...ケテ...】
「深澤くん、女の人の声は聞こえる?」
「え?女の人?聞こえない...」
「深澤くんは生きた人の念は感じれないのか、助けてって言ってる。」
「もぉーーーー、ここ何?蓮伽さん。」
「......一回出ようか。」
一度外へ出た。
「はぁ(´Д`)…、正直、蓮伽さんとじゃなきゃこんな体験しないよね(笑)」
「そうね、帰る?深澤くんだけ(笑)」
「意地の悪いことを言うね(笑)」
「あははっ、冗談。でも私と一緒にいるとこんな経験しょっちゅうする事になるよ。精神的に持たないなら無理しないで」
「最初なので、困惑気味なだけ。そばにはいたい。」
「ふふっ、ありがと。何かあったら、護るから。」
「情けない、僕が守りたいのに。」
「相手が、視えない者なんだから仕方ないよ、通常の世界の話じゃないからね。でも、居てくれるだけで心強いって思ってるから。」
本当に思っている。
私一人では、無理だ。
深澤くんの存在が私を強くしている。
だけど・・・・深澤くん、もしかして怖がり?
・・・・・・・
「蓮伽さん、この声の正体は?」
「ここ昔、何か良くない事に使っていた場所じゃないかと思うの。で、私の勘が正しければ行方不明になっている女の人が何かされているところ」
「.....中に女の人がいるって事?」
「うーん、あくまでも勘なのでそれを確認しに来たんだけど....まさかいないとは思うけどね」
「現代でこんな事あるんだね。」
「特殊だけどね(笑)視えない者って、意外と生きている者と共存しているのよ」
「深いですねぇ、、、、」
「ふふっ、そうそう(笑)気を取り直して入りますか」
もう一度、洞窟内へ入った。
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