第三章 本格的始動

第17話

1.地域一帯の変化




「早速なんですけど中居さん。前回私達が帰った後、変化はありましたか?」


「そうね、残念ながらたくさんあったの。」





―————――———前回からのタイミングで様々な事がわかったようだ。

まず、香取さん(中居さんの元恋人)の件。

どうやら人を集めているらしい。

その”人”達は共通して、中居さんの生家(トゥスクルの家系)に恨みを持っているというだけで何を目的としているかはわからない。



で、もう一つ、この地域で最近奇妙な事件が起きているとの事。





「まず、どうして中居さんの家系に恨みを持っているという事が分かったんですか?」


「私のおじいちゃん、何かあった時の為にうちに相談事等で接触をしたことがある人の名前と住所、うちに来た理由等を書き記してあって。

そのデータの中で、ネガティブな情報が残っていた人を追ったらほぼ、一致していて。」


「おじいちゃん、すごいですね。」


「中居さんのお宅もそうだけど、うちの祈龍とか含めて、『視えないもの』を生業なりわいとしてると、喜んでくれる人ばかりじゃないから....

いらない恨みを買ってしまう事もあるのでそこは慎重だったのかもね。」


「まさに岩本さんの言う通りで、おじいちゃんそういうところは慎重だったから」




「で、事件っていうのは?」





心なしか、深澤くんの目がキラキラしている。






「うん.....行方不明者が多発していて....しかも女性ばっかり。」


「女性ばっかり.....ねぇ。」


「でも不思議な事に、捜索願いが出ていないケースが多いみたいなの」


「それは変ですねぇ...、ちなみに人数と年齢層ってわかりますか??」


「わかりますよ、稲垣にデータを調べて貰えば」


「では、お願いします」





深澤くんが不思議そうに聞いてくる。




「蓮伽さん、それを知りたい理由は?」


「うん、多発って曖昧でしょ?しかも捜索願が出ていなくて家族が何も言ってないっていうのも気になるじゃない?年齢層も分かればいなくなっている理由もわかるのでないかなと思って。」


「そうですね、何が考えがあるんですか?」


「ん、ちょっとね。中居さん、気になったことがもう一つ、海に行くと見える大きめの島がありますよね。あれは人が立ち入れるんですよね?」


「ええ、立ち入れるわ。でも、船がないと無理ね。それに、」


「に・・・?」


「いわくがあるのでほとんど地元の人は近寄らないはずなんだけど......」


「・・・・」


「蓮伽さんどうかしましたか??」


「うん、変だなと思って。昨日、船のエンジン音が遠くで聞こえた気がするんだけど......」


「え?嘘?僕、聞こえなかったけど.....」


「ふふっ、ちょうど一人で入っていた時間。深澤くん入ってきたら聞こえる訳ないでしょ(笑)」




無言の後、勝手に恥ずかしくなったようで深澤くんは下を向いた。



「私、行けますか?あの島。」


「いいけど・・・念の為、一人では行かないで。」


「そうですね、禍々しさを感じますので(苦笑)深澤くんと行きます。」


「船は稲垣に出させます。」


「いえ、船を貸して頂けますか?二人で行きます。」


「免許は?」


「一応、二人ともあります(笑)」


「岩本さんは分かるけど、深澤くんは?」


「あ、蓮伽さんのお母さんの実家、周りが海なのでスキューバダイビングと船舶免許取って見ました。こんなに早く役に立てるとは♡」




「素晴らしいわ!スキューバダイビングはこっちの海は無理だけどね(笑)」




さっきからの私の言動に少し不思議を感じているようだ。


主旨が伝わっていないのでわからないのは当然だが。



話しが終わったら、行ってみる事にした。

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