第16話

細かく言わせてもらえば私は宗家の人間などではないが、ここにいる豊臣の大名たちから見ればそう見えるだろう。






そのくらい島津になんて、誰も興味ない。







だからそう言い放つ。










「…今何と申した?又一郎」









怪訝そうに姫から視線を外して聞き返してきた目の前の男に、それでいいと思う。










「…島津宗家の大事な姫故、お忘れなきように、と」








さっきの言葉を堂々ともう一度繰り返して顔を上げると秀吉と目が合って、ふ…と笑った。








……それでいい。







全ての矛先は私に向けるといい。








島津を守る為なら…何だってしよう。



















「…島津は大事な姫を忠誠の証に殿下にお預け致すのです。


もしもお忘れとあらば、薩摩者は血の気が多い故何をするかわかりませぬ」













この命も…別にどうだっていいから。












「…そもそも島津の抑えが私などではあまり意味を成さぬかもしれませぬ。


その時は…どうか御容赦を」










そう吐き捨てて、笑った。










「…今後とも、我ら島津は殿下の元で励みまする。…どうぞよしなに」









秀吉の視線を、頭を下げていても感じる。







ほら、斬りたいなら斬れよ。





楯突く外様の若造なんて。








天下人なんだろう?






それなら解放を与えてくれよ。








——————————この私に。

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