第14話
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昨日と打って変わって、激しい雨が降っている。
…梅雨らしく。
まるでこの心のようだなんて皮肉りながら、やはり嫌いな侍烏帽子の緒を気にしながら謁見の場に向けて歩いていた。
「こちらでござる」
そう言われて、手に持っていた刀を素直にその男に預ける。
軽くなった左手で、腰に差している懐剣に触れ自分に言い聞かせた。
己が何者かということを。
…皮肉にも。
そして雨音を聞きながら、行きたくもない場所へ足を踏み出した。
ぽつんと座る艶やかな打掛の後ろ姿を見ながら、その横を通り過ぎる。
男の私の方が前に座るのは当然で、まるで昨日の如く庇うようにその前に胡座をかいて座った。
並ぶ豊臣恩顧の大名達に、まるで晒し者だなと心の中で笑いながら。
ふと皆が平伏したことに気づいて、頭を下げる。
「…面を上げよ」
それに、目は伏せたまま顔を上げる。
「遠路遥々…大義である」
その声に、曽木で初めて会った日のことを思い出して心から嫌悪感を感じる。
決まり文句を言ってくる秀吉に、こちらも決まり文句で返してやろうと心の中で薄ら笑いを浮かべた。
「——————————殿下におかれましてはご機嫌麗しゅう存じます。
…
機嫌なんて知ったこっちゃないが。
激しく雨が降り
そんな雨音を聞きながら、更に決まり文句を吐き捨てた。
「島津義弘が一子、又一郎久保にございます。
こちらは島津当主・義久が
遅れ馳せながら、我ら九州より
御挨拶が遅れましたこと、平に御容赦を」
…別に遅れちゃいないがな。
すると秀吉はぱたぱたと扇子で仰ぎながら口を開いた。
「…久しぶりじゃの。…日向の
「…
どうやって治めろというのだ。
人質として上洛しているというのに。
「左様か」
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