第93話 女の勘のハナシ

母とは一旦別れた。

後日お礼も含めて泊まりに行き、報告と今後の話しをすることにした。





(片づけなければいけない事がありすぎて....頭パンパン)






会社については、私は有休扱いで休み、深澤くんは月曜日から出社、と中居さんから連絡があった。




考えないといけないことが山積みだ。








・・・・・・・





「ママ?入っていい?」




リョウが部屋を訪れた。




「どうした?」


「帰って来た矢先に悪いんだけど。」


「いいよ、どうしたの?」


「うん.....パパのことなんだけど。」


「うん。」



言いにくそうにしているが、おおよその見当はついた。




「.....もしかして、浮気?!」





目を見開いて、私を見返す。





「気づいてたの?」


「いや、全然(笑)今の、リョウの言い出し方がそんな感じがしただけ。」


「ショック?」


「それが、別に。もう末期だよね、関心がないって。でも、穏やかではない。」


「複雑。なんで?」


「家のことやらないし、すぐ仕事休むし、そんなことやってたの?って憤り。」


「なるほどね。言い方悪いけど、別れやすくて良かったんじゃない?」


「.....まぁ、ね。ごめんね、こんなパパとママで。もうさ、両親そろって最悪だね。」


「え?なんでママが最悪に入るの?」


「だって、やってる事は一緒でしょ?」


「んー、そうかなー??私の中では、一緒じゃないんだなーママの場合と。」


「そうなの?」


「自分の事しか考えてない。って事ではないから。私の事を考え、嘘をつかず、なんなら地球の為、辛い人の為に働いてる。...から」


「.......ありがと、リョウ。ママはあなたに恥ずかしくないようにちゃんと自分のお役目を果たすよ。」


「”自分を大切に””大切な人を大切に”を私も守っていくよ。ママがしつこいから。」






愛おしさ余って、抱きしめた。



久しぶりだった。

気が付けば大きくなり、腕の中に納まっていた小さかったリョウでは無くなっていた。






「ウザい、離して。」






可愛かった我が子はもうどこにもいなかった。

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