第92話 リョウの能力

AM11時ごろ自宅へ到着した。








車から出ると、自宅の前にリョウと母が立っていた。






「ママー!!」


「リョウ!!」






母の顔へと戻る。





「おかえりなさい。」


「母ちゃま、ただいま。ありがとう、留守を預かってくれて。」


「........あなた、蓮の花咲いたの?!」


「........ん、そうなの」


「あら、超えちゃったのね、ばさま(笑)」


「.....ばぁちゃんにも言われた。」


「よく出てくる(笑)」


「でも、ばぁちゃんのおかげで深澤くんと二人ケンカしないですんだから。」


「後で色々と詳しく教えて。」


「ん。」






リョウは、深澤くんのところへ、いの一番に向かった。







「深澤さん、おかえりなさい!」


「ただいま、です。お母さん、お返しにあがりました。」


「........ふふっ。」


「????」


「大人って......ニヤニヤ。ママの事、大好きなんですね!」


「リョウ!!」


「(笑)はははっ!何か見えるかな?正解!大好きですよ!」


「蓮の花、ママとってもキレイだから。私には蓮の花咲くかな??」






(リョウにも蓮の花、見えてるんだ。どうやら、咲く理由もわかっている...)







「......そうね、咲かせてくれる人と出会えるといいね。リョウもきっと、蓮の花だと思うから。」


「.........深澤さん、ママ、何日か会ってないだけなのにすごくキレイになった。」


「ママは元からキレイだよ。」


「えっ、嘘?!」


「ちょっと、リョウ何言いだすの!」


「ダラダラしてる時、アザラシみたいだよ?」


「笑笑笑笑笑笑ーーーーーーーーーー笑」


「深澤くん、笑いすぎッ!!」


「ア、アザラシ・・・・ね!絶妙(笑)」


「ぜ、絶妙って・・・」




「思い当たる節があるってことよ」




母の一刺しに、




「ま、そういう事です。」



と、大真面目な顔で答えていた。





「蓮の花がキレイってことは、アザラシなママをいっぱい見たってことだよ、ね!」


「リョ、リョウちゃん......(汗)」


「いい加減にしなよ!」


「ス、スイマセン.....思春期な娘なのでそういう系の話しが楽しくて....ニヤニヤ」


「親のそういうのをイジるんじゃないの!!」


「ごめんなさい....」




「深澤さん、ごめんなさい。」


「大丈夫だよ、逆に洞察力が凄くて素晴らしい!」


「ちょっと、深澤くん。洞察力....」


「蓮伽さんが、アザラシでも、トドでも、シャチでも、クジラでも大好きですから。」


「トドからのくだりはなかったですけどね。」




笑いの絶えない空間になった。




「深澤さんと出会えて、ママ、幸せそうで良かった。」


「僕も、蓮伽さんと出会えてとても幸せです。」


「......」


「急に黙って、どうしたの、リョウ。」


「深澤さん、心配しないで大丈夫。ちゃんと納まるところに納まるから。」


「ん、深澤さんが寂しそうだから。」


「.....リョウちゃんはママより強そうだね、能力。見抜かれちゃった(笑)」


「....深澤くん」


「大丈夫。僕、行くね。」


「ん、そうだね。離れがたくなるもんね。」


「リョウちゃん、またね。」


「はぁい!.....深澤さん、次会う時はきっと家族だよ。だってその為に出会ってる....」




「リョウ、余計なこと言わないの。」




「はぁい、ばばちゃま。」


「リョウ....?」




「レン、リョウの異能力はヒーリングではなく、霊視とか透視とか【視る】に特化してる可能性がある。」


「また、風変わりなことで・・」


「ちなみに、パパとママは三本の糸で繋がっていて、一本が二本を繋いでる。」


「あの......」





深澤くんが何かを聞きたそうにしている。



「深澤さん、ママとの事聞きたいんでしょ??ママ、いい?言っても。」




正直、勇気がいった。

聞いていいのかどうなのか。







「深澤くん、知る勇気ある?」


「.....あるよ。だって、信じてる。」


「深澤さん、素敵!教えます!ママの糸の相手が深澤さんで良かった。二人の糸ってウケる。」


「え?カタチ?」


「三本の糸で繋がっている片方の先から深澤さんに繋がっている(笑)ここで、どこも繋がってないから終わりなんだと思う。」





【視える】の能力は結構強力なのかも知れない。

まだ子どもだからかもしれないが、パワーが大きい。




「.....ありがとう、リョウちゃん。蓮伽さん、行くね。」


「.....またね、また連絡する。」


「もちろん。僕も毎日するから。」


「毎日....?それは無...」






母がリョウの口を慌てて塞いだ。




「じゃあね....」





車に乗りこみ、深澤くんは去った。

後ろを振り返らず。







「リョウ、ダメでしょ?本当の事を言っちゃ。」


「ゴメン、言ってないの?電波届かないとこに行くこと。」


「言えなかった。しかも、突然行かなければならないことも。」


「なんで?」


「これ以上、深澤くんのキャパにはきついから。彼は、いっても普通の人なのよ。今まで母親の呪縛があって心に闇があった。そこをママが解いたけどまだ、完全に回復出来てないから。」


「.....ふーん。私だったら、いきなり知る方が嫌だけどね。」


「.....そうだけど、今知る必要はないのよ。行く前には、ちゃんと連絡してメッセージ残すから。」


「そ、なら良かった。だって、深澤さんはママを相当幸せにしてくれる人だから。パパの事もちゃんとした方がいいよ。」


「わかってるって、何日か一緒にいないだけで大人になったね。何か、開花しちゃった?」


「それは、ばあちゃんに聞いて。」


「........。マジ?」

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