第87話 空港までの道のり

「稲垣さん、少し気になっているのですが」



帰る前に気になる事があった、というより出来たという方が正しい。



「はい、」


「トゥスクルの方々の集落とお墓の地域・・・・少し、様子が変だったんですね。」


「.....変?」


「この間、見た時よりも淀んでいて...」


「蓮伽さん....それ、」


「うん、「念」が強くなっているの。しかも、気になるのが」




私は、気になる嫌な予感を伝えた。




「......それは確かですか?中居さんには...?」


「誰か、の確証は取れないので伝えてないですが、多分.....」


「蓮伽さん、それはもしかしたら....」


「そう、香取さんの可能性・・・。生きている人の思いの方が執着が強くて厄介なの。もしかしたら、だけど」


「だけど?」


「うん、操っているかも、亡くなった人の残っている思い。何が目的なんだろう...。香取さんの念が結構強くて、意識を合わせようとすると拒絶するんだけど入ってこようとしてて....」


「蓮伽さん、それいつ?」






「........」

深澤くんに耳打ちをした。




「?!えっ、マジ?ホント?....」


「うん、嫉妬と執着。だから、深澤くん、気をしっかり持っていてね、じゃないと、取り込まれる。」


「えぇぇぇぇーーー!」





稲垣さんが怪訝な顔で、ミラーを覗く。




「教えて貰えますか?」




深澤くんは恥ずかしがっている。



「あの、稲垣さん、お恥ずかしい話も含みますが...すみません。」


「はい。」


「私達二人が、愛し合っている時に.....深澤くんを取り込もうと試みてきました。」






「......本当ですか?!」

稲垣さんの動揺がミラー越しに伝わる。





「蓮伽さん!何で言ってくれないの!?」


「あ、ゴメン(笑)........だったから。」


「......そ、そうなんだ(恥)なら、良かった。」


「深澤くん、その話は飛行機でね。稲垣さん、香取さんの中居さんに対する気持ちが執着となって強大になっているようです。妬みのパワーを私達に向けたようですが、深澤くんが無意識に遠ざけたようで(笑)ただ、このままではまずいので何とか策を練ります。中居さんには、この話は....」


「秘密にですか?....」


「私の方で、次戻ったら話します。」


「......わかりました。あ、もう着きますよ。」





・・・・・・・




稲垣さんに別れを告げ、飛行機へと向かった。

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