第83話 私の望むもの

「あーーーーー美味しかった!ごちそうさまでした!美味しいご飯をありがとう、深澤くん。」


「ホントに蓮伽さんは美味しく食べてくれるから嬉しいですよ!美味しく出来てたし良かった。」


「片付けは私やるから、シャワー浴びて来て、」


「ありがと、では.....お言葉に甘えて」










―――――――――深澤くんの不安が強くなっているのを、肌で感じる。





トラウマが根深くて、心の奥に隠してある孤独と戦っている。





(どうしてあげたらいいのだろう....これだけ愛し合っても奥にしまってある孤独が浄化されていないし、私を信じ切れてない。

だからと言って、肌を重ねてその場を凌いでも解決できないし....深澤くんも苦しんでいる。本能のまま動くのか、理性で抑えるのか....)




(........自分の大切な人の苦しみを癒してあげる事が出来ずに、誰を救える?・・・・どうすれば、孤独を手放してくれるのだろうか・・・このまま帰ったら、愛に満たされた分、もっと深いところに堕ちてしまう....)






答えが出ないでいる。







【異能力者としてか、岩本蓮伽としてか。】








〖レン、聞こえるかい?〗





・・・・・・






懐かしい、低めの声が聞こえた。






「?!」





〖レン、もう忘れてしまったのかい?困った子だ(笑)〗








・・・・・・・・・・






勢いよくテラスへ出た。

目を閉じると、今度はハッキリと聞こえた。





〖レン、、〗


「父ちゃま!父ちゃまだよね!初めて降りて来てくれたね!どうしたの!急に!」


〖相変わらず、跳ねっかえりだね(笑)〗


「50になる娘に跳ねっかえりとは(笑)」


〖そんなになるかねぇ〗


「ところでどうしたの??」


〖レンが困っているから。〗


「父ちゃま....」


〖レンもother halfを見つける事が出来たようだね。父ちゃまと母ちゃまもother half同志だったんだよ。出逢える事は奇跡なんだ。母ちゃまと出逢えて父ちゃまは幸せだった。お前を授かる事が出来て、リョウも産まれた。詳しくは母ちゃまに聞くがいい。愛し合う者同士しか出来ない事があるんだよ。自分の気持ちに素直に

な。〗






優しい空気を残して、父ちゃまの声は消えた。




(父ちゃま.......)







『愛し合う者同士にしか出来ない事』とは。

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