第70話 中居さんの本能、稲垣さんの苦しみ

深澤くんが飲み物を持ってきてくれた。




「大丈夫ですか?さ、飲んでください。」


「.....ありがとうございます。」




少し落ち着いたようで、話し始めた。



「中居さんは性自認がどうというより、フラットな方なので私の求めに応じた、という感じです。

思ったより、女性との交わりっていいのね。と言っていましたが(笑)」


「わかります、私も経験あるので(笑)」





慌てて、キッチンから深澤くんが出て来た。




「えっ?蓮伽さんレズ....経験ありなんですか??!」


「......(笑)ん、ある。」




不快なのかと思ったらそうでもなさそうだ、目が輝いている。




「大変!とてもそそります!」


「いいから!(笑)キッチンへ戻って!(笑)」




すごすごと戻った。




「私も、中居さんと一緒で割とそこは自由な人なので....(笑)

女性同士はエンドレスだし、ツボがわかるからずっと、イイ...ですよね。」


「......そうなんです。だから、そうなるときは一日中....です。」




ちょいちょい深澤くんがキッチンから顔を出し、私を見る。




「中居さんの気持ちを聞いたことはありますか??」


「......あります。香取さんの事は忘れた、とは言っていますが・・・・」


「が?」


「忘れていないと思います、絶頂の時に名前を....」


「?!....それ、本人は?」


「....多分、気づいてないと思います。絶頂の時なので(苦笑)....私も言ってないですし。」


「稲垣さん、苦しいですね....。今後、どうしたいですか?」


「中居さんを苦しさから解放してあげたいです、私も、このままではいけないと思っていますし。」


「・・・中居さんの件が通常になれば、男女のうんぬんに関して正常に戻って行くと思うんです、

そうしたら解決できることが多くあると思います。稲垣さんの苦しみも、解放しましょうね。」


「岩本さん.....ありがとうございます。」






話しを終えたところで、中居さんから稲垣さんあてに電話が入った。





・・・・・・・



「中居さんのところへ戻ります。本当に色々とありがとうございました」


「いえ、近くの人が苦しんでいるのにみんなを救うなんておこがましいですからね、

まずは自分の周りの人の苦しみを少しですが癒せたら・・・ってことで(笑)

中居さんの件は、私に預けて貰って。」


「はい...何かありましたら遠慮なくご連絡ください。」





そういって、稲垣さんは宿を後にした。

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