第69話 中居さんと稲垣さんのコト

部屋に戻ると、掃除が終わっていてすべて整っていた。




「ベッド.....なんか恥ずかしいね、あんな乱れたまんまなのを直されたんだね(笑)」

深澤くんが耳打ちをした。



「そう....だね(笑)」





「あの、僕、いない方が稲垣さん話しやすいですよね。夜のご飯の仕込みもしたいので席を外しますよ?」


「?!深澤くん、夜作ってくれるの—――??」


「ハイ、これぐらいしか出来ないし、蓮伽さんの美味しい顔見たいから(笑)」


「楽しみにしてるね!」


「お二人に聞いて頂いて良かったんですけど・・・」


「あー、キッチンにはいるので聞こえますから(笑)」


「そうですか、では、岩本さんも色々しないといけない事もあると思いますから、早速。」


「では、お願いします。」






―――――――――こうして、稲垣さんとのやり取りは始まった。




「稲垣さん、先程話した最後は・・・」


「中居さんに恋心があるという話だったかと思います。」


「はい。」


「これから話すことも、本当はする必要のない話なのかもしれませんが、私自身が誰かに聞いて欲しいのかもしれないです。

楽になりたいというか、この気持ちを何とかしたいと。」


「そうですね、思いを隠し好きな人のそばにいることって、容易ではないですよね。話したことで楽になるのかはわかりません。

言葉にする事で、苦しくなる思いもあるかもしれない。でも、今よりは孤独ではないと思います。」


「......そうですね。岩本さんと話していると、とてもふわふわした感じの空気に包まれて、辛い気持ちが自分から離れていく感覚があります。

これが異能の力....」


「自分では実は、わからないのです。ヒーリングに関しては自分で意識的に行ったりはしないので(笑)ただ、心の中にある、苦しんでいる部分の奥に入って

私の中の慈愛で包んでいく・・・言葉にするとこんな感じ...です。」


「すごい・・中居さんが言っていたんです、『岩本さんが潜在意識に入ると大変。

全部見透かされるし、苦しい事は優しい空気で包んで外に出して溶かしていくから。慈愛が強い者にはかなわないわ。って。」


「そうですか(笑)そんなに言われると照れます。」




キッチンから深澤くんが顔を出した。




「蓮伽さんのそれ、はすごいですよね!!僕は、蓮伽さんなしでは多分無理です(笑)」




「ふふっ、大袈裟な(笑)でもありがとう、とても嬉しいよ」


「あははっ.....正直で素敵ですね。深澤さんは幸せです、心も体も満たされている。」




「はいっ!僕は蓮伽さんでは生きていけない...」




「(苦笑)早く、キッチン戻って!!(笑)」


「はぁ~い(笑)」





・・・・・・




「さて、稲垣さん...中居さんと肉体関係があると言っていましたが、稲垣さんはレズビアンですか???」


「いえ、バイセクシュアル....です。」


「中居さんの心の中には、香取さんが今もいますよね??しかも、はっきりと感情を抱えている」


「はい、知っています。それでも、中居さんに女性の部分を満たしてほしくて.....」


「私から、求めて..」


「中居さんもそれに応じた。」


「のが、最初です。一度ではなく、続いています。」


「......だから、苦しい、、、、のね。」


「.....」


「快楽で満たされても、心が稲垣さんに向いていない。あなたはそれをわかっている。」


「......はい。」



「絶頂は....?」


「......はい、相性がいいのか...何度も求めあってしまいます」



「それは.....苦しい、ね。」








言葉に出来た事で心がほどけたのか、子どものように泣き出した。

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