he side 深澤舞翔のキモチ

マズイ.......実にマズイ。





あんなこというつもりじゃなかったんだよな。





楽しい祭りなのに、蓮伽さんと二人でいられる大切な時間なのに、

どうしてこんな事になった?





.......蓮伽さんは、俺の覚悟を図っているんだ。

好きだけじゃどうにもならない関係で、

はしゃいでいる俺の覚悟を・・・・





俺の覚悟ってどれだけ・・・・?


本当に、蓮伽さんに別れて欲しい?

別れたらシングルマザーでリョウちゃんを育てていく・・・

一生一緒に居るということは

リョウちゃんも丸ごとすべて受け入れるということ。

年の差もあって、順当にいけば俺が蓮伽さんを看取る。

全部ひっくるめてでなければ蓮伽さんを幸せにすることは出来ない。

その覚悟が足りない事を、蓮伽さんはわかっているんだ。




なんで、俺は感情を露わにして気持ちをぶつけたんだ?




・・・・そう、見破られたからだ。





指摘されたからムキになった。





それをたしなめられた。




だから、彼女は俺を置いて一人で買いものに出た。













————―————また、独りぼっちになるのか?

大切な人が離れていく?

・・・・そうか、お母さんが俺を置いていったのは俺のせいなのか。

俺がダメな奴だから、人間としてちゃんとしてないから。

手のひらから、温かな幸せがこぼれてゆく.....。

また、大切な人が去ってゆく・・・








俺はいつもそうだ、自分の感情を抑えきれずに大切なものを傷つける。

そして、失ってきた。

そうやって、蓮伽さんも失うのか?

素直になれずに大事なものを手放し、得たものは?







いやだ、もう・・・一人は嫌だ。

こんなに温かいキモチを知ったのに、大きな愛に包まれたのに

独りぼっちは・・・・・嫌だ。







愕然として、座り込んだ。

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