第55話 二人の秋祭り

「ねぇ、浴衣があるよ!」




深澤くん、はしゃぐ。




「知ってる(笑)」




「!」

「なんで、着てくれなかったんですか!!」



「.....すぐ、脱がされる?(笑)からデス。」




「(爆)......確かに!脱がしたいかも♡」




そろり近づいてきて、深澤くんは耳元で囁いた。



「後で、お代官様になってもいいですか?」




断りを入れてくれる、気弱な優しいお代官様(笑)






「......ご勘弁下さいませ、お代官様(笑)」





「お代官様に俺はなるッ!」




海賊王になりそうな勢いのお代官様。




「ホントに、スケベ。みんなに言いふらしてやる。」



「いいよ、蓮伽さんの色気が酷いって言いふらすから。」



「.......」

「あははははははははっ!!」




「お互い様だね(笑)」



「浴衣、着させてあげるよ」


「着付け、出来るの?」


「出来るよ。」






手早く、浴衣を着せていった。



「........。」



「.....フフフッ(笑)」



「........スイマセン(笑)」



「(爆)......何でよ、何に興奮してそんなになってるのよ(笑)」






その状況を流そうと思ったが、流せないくらいに

深澤くんのアレが大きくなって浴衣が突き出してしまった。





「ほんっっとスイマセン!!蓮伽さんが近くにいると・・・

しかもバスローブで、反応してしまいました。」




「そんなこと言ったら、仕事一緒にできないじゃん!」


「バスローブで仕事しないじゃん。」


「......まぁね(笑)」


「バスローブだからだよ、....かがむと胸がチラッと見えるし、

帯を巻く時に当たったから.....」


「........(爆)我慢してー。もう終わる。」






・・・・・・




「はい、終わりーー!カッコ良く仕上がった♡

ん~深澤くん、いい男(笑)」






本人も、まんざらでもなさそうだ。





「ありがとうございます(照)」





「・・・・・次、私も着替えるから、ゆっくりしてて」





・・・・・・




「え?なんで、じっと見てるのよー。」



「着替えるところ、見たい。」



「物好きだね。完成した浴衣姿をみる方が楽しみじゃない?」



「・・・・」



「ま、いいけど」






着替え始めると、サイヤ人のようにワクワクしている。






白じゅばんを着た時だった。





「.....見せて、白じゅばん着たところ。」




と声掛かった。





(これか、目的は・・・・なかなかに変態だな(笑))






「あ、これ!?この姿が見たかったの??変態だな。」





「変態って・・・(汗)でも、めっちゃ色っぽいですよ、興奮します。」





落ち着いていたはずの彼の「モノ」がまた大きくなってきた(笑)







まぁ、確かに.....淫靡な感じがする

鏡を見ると、薄いガーゼ一枚を身にまとっているので向こう側の裸体が透けている。




「見ないで(笑)それ、収拾がつかなくなるよ」




今にも、出てきそうなくらい威勢がいい。



「うーっ......したい......蓮伽さん...」



「ダーメ!しすぎ(笑)思春期じゃないんだからさー、ガマン、ガマン!」



デッキへ促し、少し頭を冷やしてもらおう。


(エッチの事ばっか、元気だな(笑))



そう、30代中盤なのに。



盛りのついた男の子のようだ。






そうして、支度が整ったので

デッキへ迎えに行った。





「深澤くん、お待たせ♡」




「はーい」





<・・・・・・!?き、綺麗!>




「ど、どうかな・・久しぶりなんだけど浴衣。」



「......。いや、、綺麗すぎてちょっと言葉が出なくて(照)」


「ふふっ、嬉しい..っ。ありがと」


「やっぱり、妖艶というか....熟れてるっていいですね☆」


「熟れてる(笑)」


「僕、熟れてる好きなので。」


「ほめ言葉としてありがたく受け止めときます☆」


「もちろんですよ、とても綺麗です、行きますか。」





私達は久しぶりに外へ出た。





すっかり、あかね色の空は藍色に代わっていて秋の夜へと変化していた。






近くの神社で、秋祭りがあると聞いていたので出向いた。



「車、用意してくれてるとは・・・至れり尽くせりだね。」


「そうなの、中居さんが手配をスタッフにお願いしてくれていたみたいで、ね」


「いつ、連絡来た??」


「.....あなたが果て切って寝ていた時です(笑)」


「(苦笑)失礼しました。」








地域の外れにある、神社に到着した。




屋台もいっぱい出ていて大規模なお祭りだ。





「着いたね、お祭り久々なのでテンション上がるわー!!」

「行きましょうか!」







手を繋いで歩き始めた。







・・・・・・・










「岩本さん、深澤さん!」





振り向くと、中居さんと稲垣さんが立っていた。





「中居さん!稲垣さん!お疲れ様です!」






繋いでいた手をさりげなく離し、二人の元へと寄った。





「とっても、良いお宿で色々配慮頂いて....ありがとうございます!」




「いえいえ、楽しんでいるみたいで良かったです。」




中居さんが耳元で告げる。


「蓮の花が咲いています、とても瑞々しく...パワーがものすごく強くなっている。

幸せな時間を過ごしたのですね.....良かったです☆」


「(照)恥ずかしいです、見られていた気分になる。」


「いやいや、見ていないですからご安心を(笑)

ただ、癒しのパワーが強大になっているのを感じたので。」


「自分でも、ちょっとわかります。これ、月のパワーですよね。」


「多分、そうです。文献で読んだところ、

癒しの異能はパワーの源が月のようなので、月に大きく左右されるかと。

ついでに、深澤さんも、支えるパワーが強くなってる。」


「さ、支えるパワー...?」


「そうなんです、あなたのパワーが大きくなったということは

それをフォローし、注ぎ混むパワーも強くないとダメなので。」


「なるほど....注ぎ込む(笑)」




稲垣さんと深澤くんが近寄って来た。




よそよそしくしている深澤くんに中居さんが耳打ちした。



「良かったですね☆そして、ありがとうございます。」


「??」




何を言ってるかわからん、という顔をしている。




(後で、教えてあげないとね(笑))



「月明り、岩本さんのパワー強大の為に必要みたいですよ

文献によると、なので真偽の程は定かではないですけど...」


「月明り...ね。」


「満月と新月は特にみたいです。」


「わかりました、こちらでもちょっと色々調べてみます。」


「楽しんでください、明日は、ハードですのでごゆるりと。」





「ありがとうございます!」

「ありがとうございます、では明日。」



「楽しすぎて、明日のパワーがない!なんて事の無いように

ほどほどに、願います(笑)」


「(照)了解です☆」




アイコンタクトをして、別れた。






・・・・・・





「中居さん、なんて?」


「(笑)知りたい?知ったら、たまらなくなるよ、恥ずかしさで」


「???え?そうなの?」


「後でね☆」







・・・・・・・




しばらく、祭りを楽しんでいると

フワッとした、ノスタルジックな空気に包まれた。




「蓮伽さん、前見て。見えますか?」


「.......うん、分かる。あの二人・・・」


「そう、前にさ、男女が引き裂かれている光景見たでしょ?

あの二人っぽい、よね。」


「着物が古いし、男性の方は学生さん?制服着てる.....」






少し前に見た、男女が引き裂かれている光景の【男女】が

並んで歩いているのを見かけた。




もちろん、この世のものではない。





「思いが強すぎて、成仏できないのかな。」


「わからない、けど、過去世で思いを遂げられてない可能性があるよね・・・」


「今世は?」


「.....私達があの二人ならさ、まだわからない...じゃん。」


「......、今、一緒にいるのに?」


「今は、一緒にいるだけで、出会っただけで、何の約束も出来てない私達だよ。

体を重ねれば、確約できたわけではないのだから。」


「....そりゃそうだけど、そんな言い方しなくても。

あれだけ、体を預けて、重ねて?」


「約束は、してないじゃない?」


「約束?こんなに愛していて、焦がれて、求めてるのに

何も感じない?何の約束?」


「何も感じない?って何?感じてるよ、

深澤くんの気持ちは十分カラダでも、心でも。でも、」


「でも?」


「それ以上でも、それ以下でもない、今は。

気持ちを確かめ合った、という現実があるだけ。」


「........仕方ないじゃん、蓮伽さんは他の人のもので....

どれだけ体を重ね、強く抱きしめても僕のだけのものにはならない。」


「早く別れて欲しいって、今はそうじゃなくても僕のものになってくれって、

言ってくれた?ずっと一緒に居て欲しいって伝えてくれた?

愛してるって言って、抱くことはSEXしたければ誰でも言えるんだよ。」


「....あのさ、僕がそういう奴だって言いたいの?」





(マズイ......どんどんお互いにヒートアップしてる。

止めないと、大ゲンカになる。)



「....違うよ、そんなこと言ってないし思ってない。

深澤くんがそう言わないのは、そうなれないからなんだって理解して...」



「そうなれないって...何?既婚者なのは蓮伽さんでしょ?

今、未来の約束をしたら蓮伽さんを焦らせることになって

蓮伽さんが苦しい思いするって、そう思ったから言わないのに。

年上なのに、そんな事....」


「年上なのに.....て、.....」


「い、いや、ゴメン、つい・・」


「つい、ね、間違ってないよ、年上なのにね、

もっと言葉が欲しくて、信じたくて、ヤキモキして大人げないよね」


「ち、違う、、、」


「ん、ゴメンね。私の言い方が悪くて気をつけるね。」


「・・・蓮伽さん・・・・。」


「せっかくのお祭りだから、楽しまないとね。」


「蓮伽さん、あの・・・」


「私、焼きそば買ってくるから座って待ってて。」


「あ、僕が行き....」


「私に行かせて。」







深澤くんの返事を待たず、その場を離れた。

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