第49話 深澤くんの思い

露天風呂から帰ってくると、リビングに深澤くんは居なかった。





「??」





トイレでも行ったかなと思っていると、飲み物とお皿を持って

ソファに戻って来た。




「戻って来ましたね、激しすぎちゃってのぼせちゃったかな(笑)

飲み物とフルーツ切ってきました。

冷蔵庫においしそうなフルーツがいっぱいあったので。」



「(笑)そうね、あんな恥ずかしい事。風に当たったから落ち着いたよ。

フルーツ・・・・ありがと、おいしそうだね!」



「でしょ、食べましょう☆」



・・・・・・



・・・・・・





今更ながら、お互い何となく恥ずかしいのか、

黙々と、フルーツをほおばる。





「あの・・・」




口火を切ったのは、深澤くんだ。





「あんなに、してしまって今更なんですけど・・」


「うん。」


「旦那さんいるのに、こんなこというの非常識なのわかっているんですけど」


「うん。」


「ずっと、そばにいて欲しいんです。」


「......深澤くん..。」


「経験値も、人間力も、年齢も、蓮伽さんには及ばないけど、頑張ります。

ずっと一緒にいたいんです。そばで大事にさせて欲しいんです。付き合ってもらえませんか?」







「......ありがとね。でも、今は無理かな。」


「どうしてですか?」


「....まだ、不貞になるから。あんなに体を重ねた後でこんなこと言うのは何だけど

何かあったら、深澤くんに迷惑かかるから。今は、このままじゃダメかな?

必ず、離婚するから。」


「.......不貞でもいいです、誰にも取られたくない。」


「ダメだよ、他の人の事好きになる事はないから....

必ず、深澤くんの所へ戻ってくるから、もう少し、待って。巻き込みたくないの。」


「......。」


「それに、」


「それに?」


「ずっと、、って結婚も視野に入ってるの?」


「もちろんです。」


「じゃ、尚更。」


「尚更?」


「・・・・・・・子ども。私は、あなたの子供を産んであげられない。

私の今の年齢では、リスキーすぎるの。深澤くん、自分の子供はホントに可愛いよ。

それを、あなたには知って欲しい。きっと、あなた似の子は可愛い・・」


「・・・・・子ども、いらないです、あなたとの子どもでなければ。意味がない、欲しくない。」



・・・・・深澤くんは、畳みかけるように言った。




普段はおっとりしている口調なのに、強めで主張をものすごく感じる。




(子ども、好きじゃないのかな・・・・)



「なんで?子ども、可愛いよ??どうして、そんなに頑ななの。

深澤くんの気持ち嬉しいよ、私も、深澤くん大好き。

だけどさ、自分の血のつながった子どもって何にも代えがたいと思うから

自分の命に代えられるほど、大事に出来るその存在を知って欲しいの。」



「........」


「........」




静けさが、ピリッと張り詰めている。




「....親って、あなたのように慈しみの気持ちが必ずあるわけじゃない......。」


「待って、それどういう意....」





深澤くんは、私の手を引き寄せた。





「その事はもういいじゃん。ベッド.....行こう...」





そう言って、少し強めに手を握りベッドへと向かった。

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