第42話 自然の恵みに舌鼓~出張1日目・親睦会

出張延長の件を母に連絡をしたら



「......全然いいわよ。リョウも楽しんでいるしね。」


「悪いわね、母ちゃま。」


「ねえ、もしかして『トゥスクル』と接触している?」


「.....なんで、わかるの?多分、そうだと思う。」


「レンの意識に気を合わせたら、あんまり感じたことのないのを受けたから。

北海道に行ってるし、もしかしたらと思って。

・・・・そう。トゥスクルの血筋と接触したのね。」


「ねぇ、母ちゃまトゥスクルの事詳しいの?教えて!」


「...........詳しくは帰ってきたら、ね。

地域が違うだけで、自然界の精霊と深いご縁がある事は私達と一緒なの。

接触してきたということは意味があるからね。」


「.....わかった。」


「深澤くんは?」


「(笑)いますよ。」


「.....宜しく伝えてね。」


「ん、わかった。リョウは?」


「お風呂入ってる。」


「そう、電話があったことだけ伝えてね。じゃ、リョウの事宜しくね!」


「はいはい。」





・・・・・・母ちゃま、トゥスクルの事知ってたな...。

母ちゃまは、修行....本気でしたらきっとすごいシャーマンだったんだろうな・・




そんなことをおぼろげに思いながら、みんなの所へと戻った。




「蓮伽さん!蓮伽さん!」

大興奮の深澤くんが、勢いよく寄って来た。




「どうした、どうした(笑)」


「宿、案内してくれるようです!」


「.....(笑)それだけ?随分、興奮中だけど。」


「ふっふっふっ、それだけ?...それだけって、楽しみすぎますよ。

何と!ホテルとかではなくコテージ一棟だそうです。

しかも、あの森の奥の部分(爆)」


「そうなの?!あんなに景色が良くて緑いっぱいのところ!」


「そうなんですよ!お風呂も露天風呂みたいで...」



中居さんは、稲垣さんと大爆笑だ。




「深澤さん、大はしゃぎですね(笑)」






..........深澤くんが大はしゃぎの本当の理由を、二人は知らない。






「では、お食事に出向きましょうかね。美味しいものご用意していますよ。」





私達は、夕食へと向かった。









————————通された場所はとても趣があって、喧噪が全くない静かな所だった。

木々が手入れされていて、水の音もあってとても落ち着いた。







「素晴らしいところですね・・・・・」

ため息交じりに深澤くんが言葉を漏らした。




「ありがとうございます。ここら辺一帯は私の実家が代々預かっているところで、

最も神聖な場所です、私も、とても気に入っています。」


「ここは、ほとんど”混ざっていない”ですね。空気がとても澄んでいます。」


「感じてくれて嬉しいです。さ、中へどうぞ。」





障子の奥もまた素晴らしかった。

和モダンで、掘りごたつになっている。



「素敵ですね、、、中居さんは結局何をなさっている方なんですか?

手広すぎて謎ですね(笑)」


「ふふっ、それも後程お話しします。

とりあえず今は、お食事を。お腹すきましたね!」









————————食事は、ジビエと海の幸がふんだんに盛り込まれた料理だった。

どれも新鮮で、都会では味わえない美味しい料理ばかりだ。




「ジビエって美味しいんですね。初めて食べましたが、

馬もイノシシも鹿も・・・クセがなくて美味しいです!」


深澤くんは興奮しきりだ。



「この辺は、空気が良くて、木々がみずみずしいし水も綺麗なので

きっとエサが美味しいのね。ストレスフルだものね。」

北海道なので、魚介はもちろん美味しいがジビエが本当に美味しい。




稲垣さんも、普段はここに来て食べられる機会はほとんどないらしいので

ひっきりなしに「ありがとうございます」と言っていた。







・・・・・・・・楽しい食事も終わり、庭先に出て満点の星を見ながら

中居さんが話を切り出した。




「さて、色々と話さねばならないことがあります。」

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