第九章 中居さんと私。

第41話 突然の訪問~出張1日目・中居さんの陣中見舞い

稲垣さんに聞いて確信した。






彼女は『異能』もちではなく、

この地域で信仰されている神道の末裔だと私は考えている。


私のルーツは、南国だ。

祖母は ”シャーマン” の家系なので間違いない。


稲垣さんが言うには、中居さんはここの生まれだと言ってたので

”トゥスクル”の家系ではないかと読んでいる。






そして、

二人とも精霊と関わり、この地球ほしの為の使命があるので





『普通』の人ではない。







色々と考えながら、所定の位置に戻ると

深澤くんが不機嫌そうにあくせくしていた。






「あ、蓮伽さん。どこへ行ってたんですか?探しましたよ。」

「.....ごめんね、稲垣さんとちょっと話し込んでしまってて。

どう?体が軽くなったんじゃない???」

「ええ、素晴らしいですね、ここはとても空気が心地よくてホントに疲れがとれます。」

「そうね、優しい空気に満ちているものね。」





探しましたよ。って・・・・。ずっと一緒にいないとダメなのか(笑)

まるで、寂しがり屋の大型犬のようだ。






もう少しで、終了の時間になる。





あと一息のところで、稲垣さんがこちらへと来た。




「岩本さん、中居さんがお見えになるそうです。

陣中見舞い。といってはいましたが(笑)」





「そうですか(笑) ではご挨拶してから失礼しないとですね。」







......中居さんの来る理由はわかっている。

多分、私に用事がある。




「???」


深澤くんは訳がわからない、というような顔をして私を見た。




・・・・・・・






しばらくののち、中居さんがやって来た。





「岩本さん~!」




「中居さん!お疲れ様で~す!」

「中居さん?!」





「ねえ、どういうこと?」

深澤くんは、自分だけ意味がわからないので、怪訝な顔をしている。


「詳しい事は、あとで話すね。」

深澤くんの耳元で伝えた。






「す、すごい.......っ!?」

深澤くんは大きめに声を張り、興奮気味だ。





「蓮伽さんのオーラと中居さんのオーラ?が混ざり合って金色こんじきになってる!」






「??」

稲垣さんは、そういった類の力はなさそうだ。



「お二人とも、この度は遠いのにも関わらず、こちらに出向いてくださってありがとうございます。」




深澤くんと私は、丁寧におじぎをした。



「そして、岩本さん。あなたはここに来た理由をわかっている。」



「はい、さっきわかりました。」

「そ、そうなの?」

「うん。」



「で、深澤さん、あなたもとても必要なんですよ。」




「ん?含みが気になりますが。」



「まぁ......それは後程ということにして、残念なお知らせ、というのか

お二人にとって、ラッキーなのか・・・」




「?」

「??」



「大変に申し訳ありませんが、手伝って頂きたいことがあるので・・」




「あるので?」

「で?」



「もう一泊、伸ばして頂けませんか?」



「え”っ?」

「......♡」



「それは、私の方から、今回のお仕事に関する特命を一件お願いしたいと。」






「・・・・・家族に連絡してきてもいいですか?」

「........そうですね、リョウちゃんいますもんね。」



深澤くんは、少しだけ、寂しそうに呟いた。



「もちろんです、申し訳ありません。ですが、岩本さんのチカラが特に必要なんです。」




「......ですよね。何かそんなカンジを受けます。」




「申し訳ありません。詳しくは、夜ご飯でも一緒にどうですか?」




「え”っ?????」

深澤くんは、嬉しくない気持ちを思い切りあらわにした。



「深澤くん、、、、、!」

思わず、ペチっと叩いた。



「・・・・・・深澤くん、ごめんなさい。今回は出張で業務がメインなので....

その代わり、今日の仕事が思ったより多めに早く終わっているので明日はオフにしますから。」




深澤くんの目がキラリ☆と光った。




「えっ?じゃあ、中居さんからお話があった件を明日終わらせて帰れば、

二泊せずとも、、、、、」




「そうなんですけど、私からお願いするミッションは明後日がベストなのでして...」




「あ、そうなんですか。じゃあ、仕方ないですよね。

お休み貰えるのも、嬉しいし。母と娘に電話してきます。」






私は、一旦その場を離れた。

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