第20話 撫子色の私

「‥‥オーラの色...??」


「はい、オーラの色が・・・




・・・撫子色なんです。」






・・・・・・




・・・・・・




「え?」


「はい、撫子色。」


・・・・・・


・・・・・・



頭の中を整理するのに、急いでも少し時間を要した。

感情の波も押し寄せ、言葉にしようとすると、どこから始めればいいのか散らかる。




深澤くんはこちらに体を少しだけ傾けて、「あ、あの...」と呟いた。




(色の事を言えばいいの?オーラが見える事に言葉を掛ける?彼は異能持ちなの?何者なの?

私も彼のオーラが見えている事を告げたらいい?私が異能を持っていることを言っていいの?

この懐かしさと、感じている香りの事は・・・???)



かなりの動揺が私を包み、頭の中に色んな残像のようなものが入り込んでくる。





・・・・・・



・・・・・・



深澤くんは、焦らせることなく、私の次の一言を待っている。




落ち着け、ワタシ。




「ねぇ、ちょっと待ってて。」



サングリアを置いて立ち上がり、

深澤くんから少し離れた場所で空を見上げた。




空は完全に藍色となり、三日月がいる。




(集中して....呼吸を整えて....メディテートしないと)

大きく呼吸し、集中した。





静寂が二人を包む。




(深澤くん、何も言わないでこの場にいるけど..なぜこの状況を受け入れているんだろう。

普通の空間ではないのだけど....)





呼吸が整い、メディテートしたおかげで落ち着きを取り戻せた。




深澤くんの元へもどり、切り出した。



「お待たせ、ごめんね、急に。」


「いや、僕がいけないです。変な事を言ったから。」


「ううん、変じゃない、変じゃないよ。」


「.....」

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