第17話 夕焼けに二人~夜のとばり~

オリエンテーリング3日目が無事終わった。




昨日の深澤くんのおかげで、コミュニケーションが取れ、和やかに業務があっさり進んだ。




帰り支度をしていると、深澤くんとエリマネの中居さんから同時に声を掛けられた。




「レンゲさん。」

「岩本さん!」



三人同時に顔を見合わせ、思わず笑う。






「中居さん、先どうぞ。」

深澤くんが促す。





「帰る前にごめんなさいね、岩本さんだけでなくて深澤さんも一緒にちょっといいかしら。」







——————呼び止められた理由はボスリーダーに関する事だった。

一人、と思っていたのだが、サブリーダーとオペレーターを増やすことになったので、

二人でボスリーダーをやってもらえないか。との事だった。

時給も、他のリーダーに比べて高くしてくれるようだし、

ということで、私も深澤くんも引き受けた。







必然的に一緒に帰る事になったので、さっき呼び止めた理由を聞いてみた。




「さっき、呼び止めたのは...?」


「あ、一緒に帰ろうと思って...もう一緒なんですけどね。」


「(笑)そうね。」


「少し、散歩しませんか?」


「散歩....(笑)いいけど、どこ?」


「前の公園です。緑がとても美しいので...」


「私も、エレベーターから見る木々がとてもきれいだなと思ってたんだ。

でも、もう・・・夕焼けだよ(笑)」


「(笑)そうなんですけどね。今日は、とりあえず初めてなので夕焼けで。」


「何が、初めて?」






彼は、人差し指で眼鏡をちょっとだけ上げて、答えた。




「一緒に並んで帰る初めての日、ということです。」







エレベーターを降り、公園へと歩き出した。

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