第14話 会社初日

ばあちゃんとの最後の対話の後、私は歩き始めた。














....冷たいはずの風の中で、優しい暖かさを一瞬だけまとった気がした。


(ばあちゃんの気じゃない....何だろう)










・・・・歩みを進め、会社を見つける事ができた。






15階か・・・・まあまあ高いな。

エレベーターに乗り込む。










—————————15階に着いてドアが開くと、そこは異空間だった。






半面、ビル群が眼下に広がり、半面、緑いっぱいの森のような光景が広がった。


「す、すごい.....。森が、キラキラしてる...」




とても優しい空気が循環している。


これも、鍛練の成果だろうか、空気が色とともに見え、水の流れがある。

目には見えないのに、水が存在しているのが確認できたりする。




....ふと、さっき感じた暖かい空気をまた感じた。

(なんだろう...さっきから。)








気になりながらも、研修会場であるドアを開けた。











・・・・大きな部屋に何名かいて、忙しそうだ。






「おはようございます。」

声を掛けた。


一斉に作業をしていた人達がこちらを見た。


「おはようございます。えと・・・お名前は?業務担当はどちらになりますか?

サブリーダーさんとリーダーさん。」


「あ、リーダーの方になります...が。」


「そうですか、リーダーさん。ありがとうございます、引き受けて下さいまして。」


(・・・・・?ん?言い回しに含みがあるけど...)


「あ、はい。これからよろしくお願いいたします。」


「お名前は?」


「申し遅れました、岩本蓮伽と申します。」


「岩本さん。宜しくお願いいたします。私は、エリアマネージャーをやっている、中居と申します。」


「中居さん、宜しくお願いいたします。」


「岩本さんは・・・あそこの席へお願いします。

もうしばらくしたら、何名か今日からの方が来ますのでね。」


「はい、承知しました、リーダーとサブリーダーだけで業務を行うのですか?」


「あ、詳しい事は後でオリエンテーションの際に」


「そうですね、失礼しました。」


「いえ、ではお席の方へ。」





案内されて、着席した。

ちょうど窓側で外に目をやると、さっきの森があたり一面に広がっていた。

(席、最高だわ..☆)



「おはようございまーす、おはようございまーす・・・・」


声が聞こえ、人が入ってきた。

ちょうど時間になって来たのだろう。


二人、と中居さんがこちらに向かってくる。


「おはようございます。」

「おはようございます。」


二人とも男性だ。


「おはようございます。」

私は、立って挨拶をした。


先ほどの中居さんが、紹介をしてくれた。


「あ、こちらの方々は岩本さん同様、今日から業務頂くお二方です。」


「はい、承知しました。」


「リーダーとしてお迎えするのは、岩本さん含めお三方と、

今日、都合がつかなかったので昨日から研修を始めたお二方となります。

全体でリーダーは合計5名になりまして、サブリーダーが10名、

オペレーターさんが100名での業務になります。」


「大所帯になりますね(笑)承知しました。」


「そうなんです(笑)こちらはリーダーのグループになりますので、座ってお待ちくださいね。」


中居さんは、入り口で溜まっているサブリーダーになると思われる方々の対応に向かった。





「・・・・・おはようございます。何か、手持ち無沙汰なので(笑)挨拶しても良いですか?」


何もしないでいるのも何なので、挨拶をひとまずしようと切り出した。


「そうですね、そうですね、それがいい。」


後に来た一人が、同意してくれた。


「では、言い出しっぺの私から。初めまして岩本蓮伽と申します、宜しくお願いいたします。」


簡単に済ませると、残りの二人も後に続いた。


「おはようございます、渡辺照平(ワタナベテッペイ)と申します。宜しくお願いいたします。」


「続いて、佐久間康大(サクマコウダイ)と言います。宜しくお願いいたします!」


「あと二人は、明日会えるということですね、さて、どんな業務なんでしょうねリーダー業務。

求人に記載されていた時給は高かったですけど。(笑)」


「ホント、そうですよねーー。僕の年齢では普通なら貰えない時給でしたけど。」


「時給なりの、ハードな仕事が待っているということでしょうか・・・」


・・・などと歓談を交えていると、中居さんがやってきた。



「お待たせしました。.........」




中居さんの説明は十分にわかりやすかった。

業務がハードなのが気になったのと、リーダー職5人の中から、一人リーダーを決めるとのことだった。







・・・・・・・







————研修1日目が終了した。

外を見るとあかね空で、とてもキレイな夕焼けが広がっていた。




内容としては出来そうだったが、簡単そうだったので時給に合わない違和感があった。






さ、今日は疲れたのでご飯食べに行こう。

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