第13話 ばあちゃんの本当の最期

いよいよ初日。










満員電車も久々なので、心地よささえ感じる。

相変わらず人が多くて、顔がつぶれるくらいに押し込まれる。

まさに戦士。【働く】は【戦う】感覚だ。







改札を抜けると、冬の匂いを感じる。

ひんやりした風を肌に当て、会社へと向かった。





ふと上を見上げ、ビルの間にある四角い青い空に目を止めた。








大きく息を吸い込み、冷たい空気を体に入れた。

目を閉じて、風の中に体を溶かす・・・・心地よさが流れ込んでくる。












——————すると、ばあちゃんの声が頭に響いて来た。





【...蓮伽、聞こえるかい・・?....どうやら聞こえているようですね。】








鍛練の成果だろうか、スムーズに繋がる感覚がある。






〖ばあちゃん、久しぶり。修行とまでは行かないけど、成果があった気がするよ。

スムーズにばあちゃんの声が頭に入ってくる。私に出来る事、やるからね。〗


【蓮伽、ありがとう...あの娘は抗り切ったからね(笑)まぁ....私が至らなかったからだけど..】


〖(笑)母ちゃまにも、譲れないものがあったんだよ、わかってあげて。

ところで・・・ばあちゃん、どうしたの?〗


【....蓮伽、もうすぐ、お前を助けてくれる大事なご縁と出逢えるだろうさ。

鍛練を重ねた意味がわかる。決して、手を離さずにね....】


〖ばあちゃん.....?それは....どういう...〗


【あなたが、この碧くて美しい星を守るために能力を開花させてくれてばあちゃんは嬉しいよ..

辛い事ばかりじゃないよ...大切な人の手を離さずにね..救いの手を差し伸べられる蓮伽であってね....】


〖ばあちゃ..ん....?ばあちゃん!!〗



まるで、もう現れないかのようにばあちゃんは消えていった。





私が、能力を開花させたおかげで、ばあちゃんはやっと眠りについたのだろうか....

今まで、転生の時期を遅らせて最後のお役目を果たしたのだろうか....

だとしたら、これで良かったのだと思う。

悲しいけど、また繋がれる気がするから。

ばあちゃんは、地球の有事を案じて、わたしに託したんだ。




やらなければ、いけない。



強く、思った。

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