第三章 異能と才能
第9話 家系と「異能」
私には、もう一つ地球人としての使命がある————。
———それは幼き頃、祖母と母から、いつもいつも言って聞かせられた
あのハナシ....。
『蓮伽、お前にはね、「お役目」というものがあるんだよ』
と。
何ともカルト的で、インチキな匂いしかしない言葉である。
でも、当事者な私には現実だ。
私には、というより、私の家系には。が正しい。
・・・・・・母方の家系は、代々何かしらの「異能」をもって生まれている。
特に女系は力が強く、「異能」は『ヒーリング』だ。
”人々の癒しとなる力”
”困っている人の為に使う能力”
”悩みごとの解決”
等、ヒーリングと一口に言っても様々ではあるが
根底にあるのは『人々の苦しみを解消する』
を、主としている。
昔は、修行の為に山籠もりをするのが通例だったようだが、
今はそこまでしている異能者は少ないらしい。
とはいえ、修行をしたほうが「異能」の格はダントツにあがる。と祖母は言っていた。
修行と聞くと仰々しいけど、
元々、太古の時代から人にはそういう能力はあるのは確かで
まだ未開発の、私たちも知らない部分はあると考えられていたので、
引き出し、開花するためには修行がするのがいいという事だ。
我が家の母方の血筋の中でも、その「異能」は私が一際強いらしく、
祖母はその「異能」を磨くことを望んでいた。
子どもの頃から、ことあるごとに「異能」の話をしていたのを記憶している。
特に、祖母からは山籠もりを強く勧められていたが、母の反対は何故か、頑なだった。
「異能」はあったからといって、いい事ばかりではないからだ。
他人のネガティブな感情を受け止め、消化し、癒しをもたらす。
『負』を浄化するために、人と違った能力を授かっているので
強く、そして何よりも柔らかく澄んでいないといけない。
精神の強さと、「異能」の強さを研ぎ澄ますには鍛練を必要とするし、自己をすり減らすものでもある。
母は、子どもの頃、急に祖母がいなくなった経験があり
色んな所を探したらしい。
行き先を告げずに母親がいなくなる...
子どもとしてはかなりショックな出来事だったと思う。
何日も探した結果、修行のために山にこもっていたという。
行き先を告げてはいけないという約束事があるため、ほぼ、失踪だ。
帰ってきてから事情を聞くため、それまでの時間はトラウマとして残っているので、修行にはいい印象がない。
私の「異能」の強さを母も知っているので、母としてはあまり開花されては困る。という思っていたようだ。
その心配をよそに、山籠もりをせずとも私は小さい頃からヒーリング能力に長けていたそうで、
幼児の時は、私と接触をする子どもの癇癪が収まったり、乳児が泣き止んだりしていたようだし
成長すると、悩みの相談に乗ったり、病んでいる人を復活させたり、していた。
その影響なのか、よく熱を出す少女だった。
手のひらはいつも熱いくらいに温かく、サーモグラフィで調べると手のひらの中央だけ真っ赤だった。
能力の強い者の共通事項。と、母は言っていた。
ちなみに、見えないものたちを浄化し空の彼方へ導きたい、と、
本気で一時期は思っていたのだが、母親に阻まれている。
祖母は大賛成し修行を進めてきたが、そのままになっている。
実は、最近になり何故か感覚が開花している感じがある。
人混みに紛れると、手が熱くなり火傷しそうになる。
・・・・今の時代、私がやらなければいけないことがあるのだ。
何かに呼ばれていることもなんとなくわかっている。
修行を行った方がいいのかもしれない。と、ふと思った。
マイナスなものに影響されることのないように、
鍛練を積まないといけない、と直感的に感じている。
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