第5話 娘のドライな心、親知らず。
娘の反応は私にとっては拍子抜けするものだった。
「遅い・・・?遅いか?」
若干、動揺した私は二回、繰り返した。
「で、どう思う?」
「ん~いいんじゃない?ママがしたきゃすれば、私に関係ある?」
「・・・・・・関係あるでしょ?」
「だって、ママが旦那さんとしてパパと今後一緒に年を取りたいかどうか、じゃない?
私はさ、ママが親権を持つことで生活があまり変わらないわけだけだからね~。
と、したら今の雰囲気、無理じゃない?私はそれより、ママが親権を持つ気があるのか?のほうが知りたい。」
思わず、絶句だった。
リョウの方が、よっぽど現実的だ。
乾ききった考え方だ。今どきの子である。
「パパと離れるのとか、嫌じゃないの?」
「ん~、そりゃさ、寂しいよ。同じ屋根の下にいる人が一人いなくなるわけだから。」
「その言い方・・(笑)」
「え?おかしい?だって、パパって前回のケンカ以来、日常の中にいないじゃん。
記念日とか、盆暮れ正月に一緒にご飯食べるだけでさ、仕事から帰ってきたら自分の部屋に直行で好きなことやってるだけ。
ご飯も自分で用意し、洗濯も自分でして、コミュニケーション取る時は自分の都合でリビング来て話してさ。
家族と向き合ってないし、旦那さんの役目をしてないんだからさ。」
・・・・よく見てる。
子どもはやっぱりよく見てるなと感じた。
そう、自分が子どもの時もそうだったように。
「寂しい....?」
「寂しくないよ、だって、ママがちゃんと私と向き合ってくれてる。私の凸凹も受け入れてさ。
パパとのコミュニケーションは自分のペースでやれれば十分だから。絡みすぎると面倒くさい。」
「笑笑。」
「二人が離婚しても、私は自由に行き来できればいいのよ。」
「そっか、じゃ、ママもママのペースで離婚するね。」
「うん。それでいいと思う。」
皮肉にも、離婚の気持ちを固めてくれたのは娘の言葉だった。
こうして、私は心を決めて、離婚をする覚悟だけを決めた。
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