第11話

「俺は結城が泣くの分かってるのに、わざわざ言葉にするような冷たい男じゃねーよ」


「……うん、分かってるよ」



それはそうなんだけど、でも、友人として何か言ってほしかった。



――違う、友達だから甘えちゃダメなんだ。



分かってる。分かってるんだけど。



「真嶋さんから?」


「うん。指輪、はめてた」


「そっか。まあ隣にいたら普通気づくよな」


「まだ、今日聞いたばかりだから頭の中整理できないの」


「……そりゃそうだろ」



俯く私に寄り添うように椅子を寄せてきた羽村。

かといって肩や腰を抱くでもなく、ただ隣にいてくれる。



「こんなこというのなんだけど、思い切って告白してみたら?」


「え?」



ほんと、こんなときにどうしてそういうこと言うの?

私が安達に告白できないこと知っておきながら、適当すぎない?



けれど睨む気力もなく、少し顔を傾けることしかできない。

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