第5話

もう放っておいてくれてもいいのに、羽村もお人よしなのか私の愚痴に付き合ってくれて三年経つ。



背が高くて、きりっとした眉に切れ長の二重、通った鼻筋と薄く整った唇。ツーブロックの髪型をしている見た目はデキる営業職そのもので、やたらモテる。

安達の優し気な容姿とは正反対の端正な見た目だ。



なのに、彼女ができた話を聞かない。

きっと私に遠慮して恋バナをしないでいてくれてるだけなのかもしれないけど。



それに軽口は叩いてもけして冷たいわけじゃない距離感と、いつも気長に話を聞いてくれる唯一の男性の同期としてすごく助けられている。



私はお酒もアテも頼まず、甘味でやさぐれた心を癒そうと頼んだデザートのアイスも少し解けかけている。

口にもせず、ただただスプーンでつつくだけ。



それを見て羽村はまた呆れている。



「食わねーのかよ」


「食べるよ」



見かねた羽村が空になったジョッキを避けて、私のスプーンを奪った。

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