第4話

「いいかげん奪ったらいいんじゃねーの?」


「……そういう目で見られてないの知ってるし、奪うとか無理」



突っ伏した顔をようやく上げて、目の前にあるバニラアイスの上に乗ったミントの葉をスプーンでつついた。



「お前、そういうとこほんと臆病だよな」


「好きな人の迷惑になりたくない。それに……彼女の真嶋さんはいい子だから、可哀そうなこともしたくないし」


「お人よしか」


「……いいもん」



グスっと鼻をすする。

安達の彼女の真嶋さんは私の後輩。



慕ってくれるし、なにより彼女自身の性格が可愛い。

そりゃ、安達も好きになるはずだと納得できる。

お互い、いい人同士お似合いなのは言うまでもない。



だから奪うなんてできるわけがない。

もちろん自分が臆病なことは誰よりも分かっている。



分かってるから、好きになって二年も友人の位置に甘んじてたのだ。

そして失恋した思いを引きずってさらに一年。



自分でも往生際が悪いと思いながら、なかなか思いを断ち切れずにいる。

そんな私を見て羽村はいつも呆れている。

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