孤独

第68話

―病院―


魅麓が救急車で、運ばれて。

先生や看護師サンが、慌ただしく

色々な、処置や検査をしている声が

遠くに聞こえていた。

僕は待合室で、なす術も無く…

だだ、ただ。待つしかできなかった…。


…魅麓は、気を失い倒れていただけで

心肺が停止しているわけでわなかった。


それだけが、救いだった。


程なくして。ベッドに寝かされ、

沢山の、点滴を受けている魅麓が

処置室から運び出されてきた。


「魅麓?…魅麓!!」

僕は、名前を呼ぶ……。反応はない。


看護師サンが、そっと「部屋に運びますので

落ち着いて下さい。先生からの、

診断を、お聞きになっててください。」


そう、言われ。すぐに「間仲さん、お話が。」

と、先生に呼ばれた。


「…あ、はい。…」


「えーっと、お兄さんの魅麓さんですが…

かなりの…"栄養失調"ですね。」

「えっ!?……栄養失調!?……。」

「はい。…最近、お兄さんに…変わった

様子はありましたか?」


「……あ、はい。…痩せたなっては、

気が付いていたんですが…。

仕事の都合で、あまり、

顔を合わせていなくて……。」


「…そうでしたか。…現段階では、

拒食症による栄養失調、と考えられます。」

「……拒食症、ですか………。」

「この場合、うちの病院では。

栄養失調に関しては、処置できますが…

拒食症は、心療内科や精神科への

受診が必要になると思われます。」


「………はい。…。」

「意識が戻り、ある程度の栄養補給が必要になりますので、暫く入院していただきます。」


「わかりました。宜しくお願いします…。」




魅麓の病室へ行き。

改めて、魅麓の顔を見た。頬はこけていた。

………………僕のせいだ。

僕が、魅麓を…孤独に…追い込んだんだ…。

ゴメン、ごめんなさい…魅麓。

もう、ずっと傍に居るから!

もう、独りにしないから!


…僕は。…声を殺して泣いた。。


今は、意識が戻るのを願うしかない…。

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