第103話
手に伝う想像していた物とは違う感触にはっと我に返った。
「…あれ…私…。」
薬品の匂いと、ベッドで横たわる千智君。
私の手が触れているのは夜紘君の手首で…。
「大丈夫か。」
低い声を落としたのは、瞳に私を捉えている夜紘君。
「あ、ご、ごめんなさい……。」
まだ頭の中が混乱している。
夜紘君と保健室に来ていたはずなのに、途中からひー君が私の頭を埋め尽くしていた。
冷たいひー君の貌と、繰り返されるひー君の中性的な声。
あれ、私…。
いつからひー君の事考えてた?
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