第77話

私の意識は朦朧としていて、落ちてくる彼からの言葉を考える事無く受け入れていく。





私にはひー君だけ。



ひー君。ひー君。ひー君。






「キツいね…日鞠の中温かい。」


「あっ…あっ…。」





最早彼の言葉に返せる余裕すら残っていない。



口を開いても紡がれるのは一切言葉になっていない声。






「あーあ、壊れちゃったね。可愛い。」


「ひー君。ひー君。」





苦しい。



気持ち良すぎて、苦しいよ。




最初はこんなに身体が震える事もなかったのに、ひー君にこうして身体を抱かれる度に可笑しくなっていっている。



彼の背中に腕を伸ばしてしがみつくけれど、律動は止むどころか激しさの一途を辿るばかり。



呼吸すらまともにできない。




浅く、何度も息を繰り返せば彼の口が私の唯一の呼吸手段をあっさりと奪う。




「んんっ…んっ……。」


「好きだよ、日鞠。」





何度も身体を重ねながら彼が教えてくれたから、自分の身体が彼を自ら受け入れているのが分かる。



もう苦しいはずなのに、貪欲に彼からの快感を探って求めて貪っている己の本能が恐ろしい。

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