第76話

唐突に全身を駆け巡る強烈な刺激に、目の前をチカチカと光が飛ぶ。



痙攣するように小刻みに震え、口から漏れる喘ぎ。





「あっ…あっ…あっ……。」


「可愛い。可愛い。可愛い。僕の日鞠。僕だけの日鞠。」





口の端から零れ流れる唾液をひー君の舌が掬う。



それすら快感と捉えてしまう身体に、とうとう私は壊れてしまったのだと恐怖に襲われる。





「日鞠。日鞠。日鞠。」


「あ、待って…待って…「ふふっ、待たない。」」




ひー君の甘美な声も、微笑みも、この時ばかりは残酷だ。



律動をし始めた彼に、私の身体が快楽から逃れるように仰け反った。





「逃げるなよ。」




そんな私の腰を両手で掴み、深く自分の腰を落とす彼は意地悪だ。





「逃がしてあげないよ。絶対に逃がさない。日鞠は僕から逃げられないの。」


「あっ…あっ…ひー君……ひー君…。」


「そう、良い子だね。僕の名前を呼んで。」


「ひー君……ひー君。」


「そうだよ、日鞠には僕しかいないんだ。僕以外の名前なんて日鞠は覚える必要はないよ。」






思考を全て奪われた状態で、快感を与えながら言葉を降らせるひー君の瞳は、とても満足そうに見える。

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