第75話

「嗚呼、可愛い。最高に可愛いよ日鞠。もう愛おしくてどうにかりそう。」


「んっ……。」





輪郭をなぞるようにひー君の舌が這う。




「他の人なんて見ないでね。僕の事だけ考えてて。」


「ひー君…。」




目を伏せて、寂しそうな顔をするひー君の両頬にめい一杯手を伸ばす。



彼のそんな顔なんて見たくない。




「私も…ひー君が一番だよ。」


「本当?」


「うん。」


「ふふっ、知ってる。」




悪戯な笑みを湛えて、自分の上着を脱ぎ捨てた彼の露わになる白くて滑らかな肌。


本当に陶器みたいで、息を呑む程に美しい。




「もう僕限界。」


「え?」


「日鞠の中、入りたいな。」


「ああっ…あっ…。」




耳を噛み付かれ、ピリピリと小さな痛みが走る。




「ふふっ、今ので余計ここぐちょぐちょになっちゃたね。」


「……っっ。」


「ほら、聞こえる?」


「あああんっ…駄目…。」




下部を指先で嬲る彼に、身体が更に熱を帯びる。





「日鞠、気持ち良い?」




押し寄せる快感に、言葉が出ず必死に頷く。




「僕も気持ち良くなりたい。」


「んっ、あっ…壊れそう…怖い…。」


「うん、大丈夫だよ日鞠。」




彼が自分のボトムスに手を掛けた。





「僕と一緒に壊れよう。」





甘くそう囁かれたと同時に…。




「ぁああああっ…。」



私の身体を彼の熱が貫いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る