第72話
「僕が育てる事にしたんだ。」
「……。」
「誰にも盗られないように、僕だけが愛でられるように。土も肥料も水やりも。全て僕の手で薔薇に与えてる。」
「そうなの?ひー君薔薇育ててたんだね。」
知らなかった事実だ。
確かに、ひー君の家の庭には綺麗な花々が咲いているけれど、その中に紛れているのだろうか。
彼が愛情を注いでいるその薔薇が。
「でもね、美しい薔薇は無意識に人を引き寄せてしまうものみたいで、困ってる。僕だけの物なのにね、勝手に色んな害虫が薔薇を求めてやって来る。だからね…。」
「だから?」
「その都度殺虫剤で殺さないとけないから、面倒なんだ。」
溜め息交じりに言葉を吐いたひー君の目は、酷く冷たい。
「それでも僕は害虫を殺し続けるよ。」
「……。」
「邪魔だから。僕だけの薔薇だから。」
「……。」
「それに、その薔薇は……。」
“僕しか知らない蜜に溢れているからね”
耳元で、艶のある声が囁く。
それからすぐに…。
「ああっ…あっ…待って……あっ。」
私の下部を彼の指が、搔き乱した。
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