第65話
教室の人達は千智君と夜紘君を避けているけれど、私はその理由が未だ分かっていない。
でも、そんな理由なんてどうでも良いのかもしれないと思うようになってきた。
だって…。
「ヒマちゃんって中学何処?」
「どうして?」
「気になるな―って思って。まぁ、調べればすぐ出るんだけどね。」
「え?」
「ううん、何でもない。夜紘も気になるよね?」
「うるせぇ。少し静かにしろ。」
千智君も夜紘君も普通に話してくれるし、普通に接してくれるから。
ほとんど千智君が話しているけれど、夜紘君もちゃんと話は聞いてくれている。
幼い頃に「ブス」だと言われたトラウマは大きな傷として私の中に残っていた。
そのせいで、他人との付き合いには臆病になってしまうし、異性に対しては特に萎縮しがちだったけれど、二人に対しては不思議とそんな風になる事がない。
すっかり「怖い」なんて感情を二人に抱く事もなくなっていた。
「えっと、中学は
「へぇ、珍しいね。あの辺からここってあんまり進学しなくない?」
「うん。白鳥中学からは私含めて二人しかここに入学してないよ。」
「そっか、納得。」
ペンを走らせていた手を止めて、なるほどと頷く相手に私は首を傾げる。
「何が納得なの?」
「ん?ヒマちゃんって、俺達の事知ってる?」
余り触れてはいけない話題かと思っていたのに、予想外にも本人の口から飛んだ質問に私の目が大きく見開いた。
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