致死率20%
第51話
遠目からでも分かる傷みのない綺麗な黒髪をぐしゃりと搔き乱したその人が、大きく舌打ちした。
それを機に、教室中の人達があからさまに彼から目を逸らした。
「あれ、あの二つの空いている席じゃない?」
「…気分悪ぃ。さっさと座るぞ。」
「え、あ…ちょっと夜紘。」
重い沈黙なんて気にも留めていないかのように、歩みを進めた二人が私の目の前で足を止めた。
この距離で見ると、二人の綺麗さが余計に際立って見える。
創られたのかと思う程、顔のパーツ一つ一つの形が美しく、それが計算されたかの如く均等に配置されている。
無意識に息を呑んで、魅入ってしまう。
こんなに綺麗な人、ひー君以外に初めて見た。
「どっちが俺の席でどっちが夜紘の席かな?」
「……どっちも変わらねぇだろ。」
首を捻る男の人を置いて、そそくさと私の左隣の空席に腰掛けた男の人。
「えー、俺がそこの席が良かったけどまぁいっか。」
あははと緩い笑い声をあげたブロンド髪の彼は、私の右隣に座った。
入学してから一ヵ月、漸く私の両隣の席が埋まった瞬間だった。
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