第50話
雰囲気の異様さに気づき辺りを見渡せば、ここにいる人達の視線が一点に向けられていた。
それは私も例外ではなく、そこにいる人物から目が離せない。
惹き付けられているのか。
はたまた、その人達が纏う威圧感から逸らせないのか。
どちらにも当て嵌まるような気もするし、当て嵌まらないような気もした。
それでも、とにかく、そこから視線が外せなかった。
「ねぇ、俺眠たい。やっぱり初登校は明日にすれば良かったと思わない?」
「……うるせぇ、黙れ。」
「酷いなぁ、寝不足だからカリカリしてるの?」
「口塞ぐぞ。」
「ああもう、そんな鋭い眼光で睨まないでよ。」
「………。」
こんなにもありとあらゆる視線を集めているというのに、その中心にいる二人は何も感じていないかのように会話をしている。
誰もがその二人を見ていた。
一人として、そこから視線を逸らす者がいなかった。
色んな理由があると思う。
二人の纏っている空気が異様だから。
入学してから一ヵ月なのにこの二人は初めて見る顔だから。
逸らせない理由は様々だろう。
だけど一番の理由は間違いなく……。
「俺達の席って何処かな、クラス表剥がされてたんじゃ分からないよね。」
「おい見せもんじゃねぇ。ジロジロこっち見るな。」
そこに佇む二人の容姿が、一際美しいからだと思う。
「
隣から、彩愛ちゃんの声が小さく零れた。
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