第41話
英会話の課題も早々に終わってしまい、手持ち無沙汰になってしまった私と彩愛ちゃん。
「日鞠ちゃんって可愛いよね。」
唐突に、的外れな言葉を掛けて来た相手に私は吃驚した。
「そんなはずないよ。」
自分の容姿が劣っている事は誰よりも私がよく知っている。
私なんかよりも、彩愛ちゃんの方がよっぽど可愛くて美人だ。
比べるまでもないくらいに。
「え?」
私の返答に、驚いたような素振りを見せた彩愛ちゃんに首を傾げる。
「何言ってるの、日鞠ちゃんすっごく可愛いよ。皆が噂してるんだよ。」
「そんなはずないよ。」
「そんなはずあるの!」
にわかには信じられない話に、人違いなんじゃないかと思ってしまう。
「そういう彩愛ちゃんの方こそ何倍も可愛いよ。」
「私は…振り向いて欲しくて努力してるから…。」
消え入りそうな声でそう言った彩愛ちゃんは、ちらりと私の隣の空席に視線を投げた。
「でも全然相手にされてないんだぁ。」
「それってどういう意味…「そんな事より!!!日鞠ちゃんの彼氏、すっごく美形だよね。」」
「え!?彼氏!?!?」
質問を遮られ、話題ががらりと変わったかと思えば、全然身に覚えのない単語を言われて唖然とした。
「あれ、彼氏じゃないの?」
私の反応に違和感を覚えたのか、首を傾げて質問する彩愛ちゃん。
彼氏という存在なんて、生まれてこの方出来た記憶がない。
それどころか、果てしなく縁遠い所にある存在だ。
「いつも一緒にいる彼は誰?休み時間の度にここに来てるよね?」
誰の事を話しているのかまるでピンとこなかったけれど、彩愛ちゃんのこの一言で漸く答えに辿り着いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます