第40話
まさか声を掛けてくれる人がいるとは思わなくて、目を丸くしながらも慌てて頷いた。
「駄目じゃないよ、私もペアになりたい。」
「本当?良かった。」
ツインテールにされた髪を躍らせて、私の隣に腰を下ろした美少女は、まるでお花が周りに咲き乱れているかのような華やかな雰囲気を持っている。
華奢で、顔も小さくて、誰もが羨ましくなってしまうくらい魅力的な要素に溢れていた。
「初めまして、
「あ…椎名日鞠です。」
「日鞠ちゃん?可愛い名前だね、宜しくね。私の事は彩愛って呼んで欲しいな。」
「こ、こちらこそ宜しくね。」
優しい笑みを浮かべて手を差し出してくれた彩愛ちゃんに自分の手を重ねれば、ぎゅっと握ってくれた。
高校に入学して初めてクラスの人と会話した私は、それだけで嬉しくてそれと同時に緊張していた。
「彩愛ちゃん良かったの?他の人と組まなくて。」
こんなに可愛くて優しそうな彩愛ちゃんなら、きっと私と組まなくたって沢山ペアになる候補がいるはずなのに。
気を遣ってくれたのかな。
そんな懸念を持った私の問い掛けに、彩愛ちゃんは苦笑を零した。
「平気。私、避けられてるから。」
「え?」
「それに、日鞠ちゃんの事ずーっと気になってたの。だからお話しできて嬉しい。」
一瞬、悲しそうな顔を見せたような気がしたけれど、すぐに彩愛ちゃんの顔には笑顔が戻っていた。
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