第39話

進学校という事もあってか、休み時間は騒がしい教室も授業中は酷く静かだ。



ひー君のいない教室。



そんな現実にもやっと慣れて来た。





「…また神楽君と朝日君はお休みね。」




そして、相変わらず私の両隣は空席のままだ。



教科担任の先生が、困ったように眉を下げて私を挟むようにして並ぶ誰もいない席を交互に見る。



もう二週間が経つというのに、一度も顔を見せない席の持ち主。





「もう来ないんじゃない?」


「来ない方がいいだろ。」


「流石だよね、そのまま留年しちゃうんじゃないの。」





ヒソヒソと周りから漏れてくる話し声を聞く限り、神楽君と朝日君という人は余り歓迎されていないみたいだ。



皆はどんな人なのか知っているらしいけれど、私は二人の顔すら知らない。



名前だって、苗字しか分かっていない。





「それじゃあ今日は二人一組になって、基本英会話文の練習してください。」




先生の一声に、近場にいる人同士で声を掛け合い始めた周囲の人達は、あっという間にペアを完成させていく。



どうしよう…。


知り合いもいなければ、残念な事にご近所は空席状態。


全然クラスメイトには馴染めていない私は、居たたまれずに俯いた。





「ねぇ、一緒に組まない?」




急に肩を叩かれて、反射的に顔が上がった。



「え、私?」


「うん。駄目かな?」




私の顔を覗くようにして立っていたのは、栗色の巻き髪にピンク色のリボンがよく似合っている美少女だった。

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