致死率10%

第21話

鏡の前で念入りに自分の姿を確認する。



変な所に皺も寄っていないし、頑張って早起きして巻いた髪だって崩れていない。




「日鞠ー!!!氷雨君来てくれたわよ!!!」


「はーい!!!」




まだまだ不安な部分は残っていたけれど、ママのその声に私は慌てて鞄を手に取り駆け出した。




「ひー君待たせてごめんなさい。」




玄関先に佇む人影。


180㎝の長身に、長い手足。



立っているだけでも見事なその人物は、お世辞や贔屓目を抜きにしてもモデルさんみたいだ。




「ううん、待ってないよ。」




優しく目を細めて、私の手から鞄を取った彼の制服には私の制服と同じ校章が刺繍されている。



「髪巻いたの?可愛い。似合ってる。」


「ほ、本当?」


「うん。でもあまり可愛くしちゃ駄目だよ、日鞠の可愛さは僕だけが知っていればいいんだから。」




くるんと躍る毛先を持ち上げてキスを落とすひー君は、確かに何処かの国の王子様だと言われても納得してしまう。





「ひー君、私鞄くらい自分で持てるよ。」


「僕が持ちたいから良いんだよ。」


「でも…。」


「ふふっ、お礼は日鞠からのキスが欲しいな。」


「……っっ。」





ママもいるのに、耳元で小さく落とされた甘い声に身体中が熱くなる。




「顔真っ赤だよ日鞠。」


「…。」


「何考えてたの?えっちだね。」




私の腰へとひー君の腕が回されただけで、身体が反応してしまいそうになる。



身体が、すっかりひー君の体温を覚えてしまっている。

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