第13話

「クスっ…新しい制服が皺になっちゃったね。」


「本当だ、どうしよう…入学式来週なのに。」


「平気だよ、僕が日鞠のもアイロンかけてあげるから。」


「ありがとう。」


「それじゃあ、着替えて下に行こうか。母さん達が待ってるから。」


「うん!」



お互いの指を絡めて手を繋ぐ。



二人きりの時はこうして手を繋がないといけないルールだ。






「日鞠、髪の毛ボサボサじゃない。」


「へ?」




着替えを済ませてひー君と下に降りれば、私を見て呆れたようにママが溜め息を吐いた。




「もう、氷雨君がいるのに日鞠ったらまた寝ちゃったんでしょう?」


「違うよ。」


「嘘言わないの、こんなに寝癖立たせておきながら。氷雨君ごめんね、この子本当にマイペースで。」




申し訳なさそうにひー君へと視線を投げたママに対して、彼は口角を吊り上げて答えた。



「いえ、凄く可愛かったですよ。」


「本当に氷雨君は昔から優しいのね、高校でもどうか日鞠を宜しくね。」


「勿論です。可愛い日鞠は僕が守ります。」


「氷雨君がいると安心だわ。」




ひー君の笑顔に、ママの頬が桜色に染まっている。


ママだけじゃない、ひー君を見た女の子達は誰だって揃って頬を赤らめる。




それくらい、ひー君は魅力的な人間だ。

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