第14話
だから、そんなひー君が私とずっと一緒にいてくれているのは本当に奇跡みたいなもの。
あの日、同じ病院で、同じ日に産声をあげていなかったら、こうしてひー君が隣にいてくれる現在がなかったのかもしれないと思うと、怖くて仕方なくなる。
ひー君は魅力的な人だから、誰からも愛されるけれど。
私にはずっとずっと、ひー君しかいないから。
「今日は私達腕によりをかけたから二人共沢山食べてね、今夜は日鞠ちゃんと氷雨の高校合格祝い兼中学卒業祝いなんだから。」
キッチンからエプロンを脱ぎながら現れたひー君ママが嬉しそうに目を細めた。
来週から高校生。
ついさっき、ママ達に出来上がったばかりの制服をお披露目したけれど、やっぱりまだ実感が湧かない。
高校生になったら、高校生こそは…友達作れるかな。
ママが教えてくれたみたいに、好きな人とかできたり、恋愛したりするのかな。
正直、今は高揚感よりも、不安や緊張の方が大きい。
「美味しそうだね、日鞠が食べたいのは僕が取り分けてあげるね。」
「ありがとう。」
でもきっと、ひー君も一緒だから安心だ。
ひー君がいれば、高校生活も楽しくなるに違いない。
そう思い直して、促されるままにひー君の隣に腰掛けた。
「ひー君、高校でも宜しくね。」
「勿論。」
アンティークの皿に、言わなくても私の好きな物ばかりを取り分けながらひー君は口許に弧を描いた。
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