第11話

ひー君の言葉はいつも私を安心させてくれる。




「日鞠、これは気持ち良いって言うんだよ。」




私の身体に触れる度に、ひー君は私に教えてくれた。


これは気持ち良くなる為の行為なんだって。


嫌がらないで、素直に委ねるだけで良いんだって。




「日鞠、すっごくえっちな顔してるよ。」


「やっ…だって…。」


「気持ち良い?」


「……うん。」


「そうだね、気持ち良いね。はぁー可愛い。」



服の中に忍び込んできた彼の冷たい手が、下着をずらして私の胸の頂に触れる。


それだけで、身体がびくりと大きく跳ねた。




「僕の手で、随分敏感になったね。」




どんどん可笑しくなっていく気がするのに、私が震えたり声をあげたりすると、ひー君は酷く嬉しそうな表情をしてくれる。



まるで、「良い子」って褒められているみたいだ。



ひー君を見上げれば、その芸術的な貌からはすっかり怒りが消えていた。



機嫌が直ったみたいだ。





「日鞠は全部が綺麗だね。」


「へ?」





不意に絡み合った視線。



私の瞳をじっと見るひー君の双眸は、透き通っていて宝石によく似ている。





「キラキラしてるこの瞳にずっとずっと僕を映して欲しいな。」


「……。」


「綺麗すぎて抉り取ってポケットに仕舞いたくなる。」


「ひー君。」


「胸ポケットに入れれば、僕の心臓の一番近い所で日鞠が僕を見つめてくれるって事だもんね。」




どんな想像をしているのかな。



興奮したように目を爛々とさせたひー君は、私の瞼にキスを落とした。

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