記憶

第26話

………俺は、…言葉を失くし

ただ、途方にくれ。。

車内は静まりかえっていた。




………………車が、停車した。

「晃司さん…。どうぞ、こちらへ。」


初老の女性の後について歩く…

白い建物の中に案内され

…そして、ひとつの部屋へと招かれた。


中へ入ると………?!


「イ…イズミ?………」

イズミは、ベッドの上に横たわり

…"眠っていた。"


その傍に、いかにも「研究者」の様な風貌の

男性が立っていた。


「…博士、こちらが井川晃司さんよ。」

…「ほぅ、この方ですか泉の同居人は。」


その、"はかせ"と呼ばれた男性は

俺を…物珍しそうに、見つめた。


…………不快な視線だった。。


俺は、それを無視して…

イズミの傍へと近付き、イズミの名を呼んだ


「なぁ!イズミ?…起きろよ、起きてくれよ

早くうちに帰ろうぜ!」


「井川さん。泉はまだ、データの

解析中なのですよ?連れては帰られません。」



「なんだよ!データの解析って!!

…だいたい、なんでイズミの頭ん中に

"AIチップ"なんかが!入ってんだよ!?」


「…おや?まだ、ご存知ないのか?」

「何をだよ!何の事だ?」



「あ、博士…すみません。。

車内で、話しておくべきでしたが…

あまりにも、…酷な話かと……。」


「……まったく、貴女は情に脆い方だ。

では、わたくしから話そう。

井川さん。泉は幼少の頃、…交通事故で

"脳の一部に損傷"をおったのだ。で、

それを補う為に"AIチップ"を使用した。

だからそれ以来、泉の成長は全て

データとして記録してAIのプログラミングに

役立てている。それだけの事だ。」


「…それだけの事だと?!てめぇ!!

ふざけんなよ!イズミは、お前の

モルモットじゃねぇんだよ!!」

と、言った時には…もう、博士の

顔を、おもいっきり殴っていた。。






【俺は、今となっても…鮮明に覚えている。


……イズミ?おまえの"心"にも残ってるか?


早く。目を覚ましてくれよ………。


俺、ずっと待ってるから。。】



俺は、

イズミの名前を呼び…泣き崩れた。。

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