第82話

「やだ。名倉さんたら。何を想像したの?私が言ったのは、あの海水浴場の“これ以上奥には行ってはいけません”って意味合いであろうポールまで、一緒にクロール競争をしてあげてもいいよ?って意味だから」




「意味わからんわ!なんでクロールで競争しなあかんねん。全然慰めになってへんやんけ」




やっぱり意味わからん。この女。



俺、からかわれてんのかな?




「え?だってスッキリするでしょ?それとも、やっぱりエッチな意味でスッキリしたいの?名倉さんのスケベ。いいよ。カモーン」




「いやいやいや!カモーンすんなよ」




セクシー手招きをする加奈子から、俺は座り込んだまま後ずさりをして逃げるふりをした。




どさくさに紛れて本気でそんな関係になったら嫌やし。




朝日が差し込むベットの上で裸の加奈子に『おはよう。名倉さん』なんて言われた日には……堪らんな。




ええなー。肌とか白くてスベスベやし、白いシーツの上に広がる黒髪って官能的……って違う!

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