第81話

「なんや?」




悲しそうな顔から一変して、楽しげな表情を浮かべる加奈子に不信感が募る。




まさか、さっきのは演技とか言わんよな?




『ざまぁ!名倉』とか言われへんよな?




ちょっとビクビクしながら加奈子の返事を待つ。




加奈子は少しだけ頬を赤く染めて俺の肩に頭をコツッとぶつけてきた。




加奈子が凭れ掛かってきたせいで直接肌と肌が触れ合って、ちょっとムラム……ドキドキする。




「慰めてあげよっか?……体で」




「黙っとけ。意味わかって言ってんのか」




予想していた通りのぶっ飛んだ発言に呆れ果てる。




ラッキーって喜ぶと思ってたら大間違いや。




自分に恋愛感情を持ってるってわかってる女に、軽い気持ちで手を出すほど俺は落ちぶれてない。




もちろんチャラ男でもない。




意思とは反して首を縦に頷きそうにはなったけど。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る