第80話

感傷に浸りながら拓真君が作ってた砂のお城をボケッと眺めた。



失恋した気分や。




こんな気分を味わうのはガキの頃に好きやった、近所のみっちゃんと引っ越しで離れて以来やし。




「ごめんね。名倉さん……。私、余計なこと言っちゃったよね」




俺の横で顔を伏せて膝を抱えながら、か細い声で謝ってくる加奈子に逆に申し訳ない気持ちになる。




「いや、遅かれ早かれ終らせなあかんと思ってたしな。それより俺が拓真君を好きなこと、なんで知ってたん?」




「……見てたらわかるよ」




「そっか……」




バレバレやったんか。




俺ってわかりやすいんかな?




成宮も気づいてるっぽかったし。




「名倉さん……」




自分アホやなって落ち込んでたら加奈子が顔を上げて俺の名前を呼んできた。




ちょっと楽しそうな顔で。

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