第79話

「だよねー。名倉君が俺のことを恋愛対象で見てたらどうしようかと思ったし。男はさすがに…ね」



「……おう」




拓真君が放った言葉が頭の中に何度も反響する。




頭をトンカチでフルスイングで殴られたような衝撃が心の中を駆け巡った。




拓真君がノーマルなのはわかりきってたことやし、俺だってノーマルだ。




たった今さっき男を好きなわけじゃなくて“拓真君が女にならんかな”って思ってただけって判明したところやのに。




漠然と切ない気持ちでいっぱいになる。




何やねん、これ。




「じゃあ、俺も泳いで来るから!ごゆっくり~」




拓真君はニッコリ微笑みながら俺と加奈子に手を振って、山崎たちがおる海の方に走って行った。




その笑顔に胸キュンしてる俺、やっぱりやばいかも。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る