第77話

「おい。加奈子」




しつこく笑い続ける加奈子を牽制しようと軽く睨む。




けど、加奈子は気づく様子もなく笑い続ける。




「名倉さんたら……っ。マショマロみたいでガーベラみたいな子って本人に言っちゃ……」




「うわあああぁぁぁ」




おまけにポロッといらんことまで喋られて、慌てて大声で書き消した。




「え?本人?名倉君って……俺のことが好きだったの?」




けど、遅かった。




拓真君は顔をひきつらせて俺を見つめてくる。




真夏の海水浴場がスキー場に。



熱い砂浜が雪に変わってしまったかのような、凍えてしまいそうなくらい不穏な雰囲気が俺たちの間を漂う。




やばい。完全にやばい。




ついに本人にバレてしまった。




バレたと言うより、チクられたって感じやけど。

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