第75話

「加奈子ちゃんと名倉君って、付き合わないの?」




「……はい?」




残ってた砂を自分で払ってたら、唐突に拓真君がストレートな言葉を投げ掛けてきた。




加奈子も目の前にいてるのに。




「付き合うなんて……そんなっ」




加奈子はあからさまに嬉しそうに顔を両手で覆って、キャーキャー言ってるし。




真夏のビーチで唯でさえ暑いのにさらに暑くなってどうすんねん。




「だって、加奈子ちゃんは名倉君が好きなんだよねー?」




「はい」




「で、名倉君は彼女を大募集中でしょ?」




「はい」




「いや、なんで加奈子が返事すんの」




「と・に・か・く2人の条件は一致したわけだ」




砂でお城を作りながら口をつり上げて笑う拓真君に白けた目を向ける。




条件一致って何やねん。

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